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公開日:2024.12.13(金) 更新日:
「やめとけ」といわれるPMO、実はキャリアアップにもつながるやりがいある仕事!

PMOの仕事はどのようなものかご存じでしょうか?よく「やめとけ」「きつい」と言われるPMOですが、習得が難しいプロジェクトマネジメントのスキルを習得できる、非常にやりがいのある仕事です。
プロジェクトマネジメントのスキルは今後のキャリアアップにも有効です。
この記事ではPMOのやりがいを解説します。
PMOに求められる役割
PMO (Project-Management-Office) とは、企業や組織においてプロジェクト推進を専門に請け負う組織です。
PMOはプロジェクト単体ではなく、企業や組織全体のプロジェクト推進を専門的に支援する役割を持ちます。
自社の経営戦略を達成するために、企業では多様なプロジェクトが推進されています。
しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるビジネスモデルの変革、生成AIに代表される技術革新により企業のプロジェクトは大きく変化を遂げました。
複数プロジェクトを同時に推進することが当たり前になり、優秀なプロジェクトリーダーが不足している現代において、プロジェクトを成功に導くためにPMOが組織されるようになりました。
仕事内容
PMOの主な仕事内容は以下の通りです。
- プロジェクトのマネジメント支援
- プロジェクト間のリソース調整
- プロジェクト推進手法の習得、教育
- プロジェクトマネジメントの標準化
仕事内容にはプロジェクトの直接支援だけではなく、プロジェクト推進手法の習得と教育、標準化を含みます。
これは、習得に時間がかかるプロジェクトマネジメント技術を、習得および全社に教育することでマネジメントの質を全社的に向上させるためです。
また、標準化により全社の底上げの役割も併せ持ちます。
場合によっては、コンサルタントや優秀なフリーランスをPMOに任命する場合もあります。
このように、PMOとはプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルともいえる組織であり、責任感とやりがいのある職種であると言えます。
特徴
PMOの特徴は、プロジェクト活動を支えるという点です。
かつて、プロジェクトの成否はプロジェクトマネージャーの能力に依存していました。
しかし、優秀なプロジェクトマネージャーは限られ、育成にも時間がかかります。
企業や組織としての活動を、プロジェクトマネージャーの質に頼るわけにはいきません。
プロジェクトの属人性を排除し、一定の成果を上げる必要があります。
PMOはプロジェクトマネージャーを支え、マネジメントの能力を向上させる特徴を持ちます。
プロジェクトマネージャーとの違い
PMOとプロジェクトマネージャーの違いは以下の通りになります。
プロジェクトマネージャー | 1つのプロジェクトにおける責任者。プロジェクトの推進、コントロール、完了の責任を負う |
---|---|
PMO | 全社のプロジェクト支援者。プロジェクトを成功させるために支援や伴走し、プロジェクトを成功に導く |
プロジェクトの責任者は、あくまでもプロジェクトマネージャーです。
しかし、プロジェクトマネージャーの役割は、プロジェクトのコントロール、ステークホルダーとの交渉、リソースの調達等と多岐にわたります。
一方、PMOはプロジェクトマネージャーがマネジメントに専念できるように、支援する役割を持ちます。
PMOとプロジェクトマネージャーの違いは、次のリンクに詳しく解説しています。ご参照ください。
PMOとPMの違いとは?プロジェクトにおけるそれぞれの役割を知ろう
https://www.x-over.co.jp/consult/pmo/or-pm
経験者が語る!PMOのやりがい
ここでは、実際に経験したPMOのやりがいについて紹介します。
プロジェクトの成功
困難なプロジェクトを完了させたときの達成感は何ものにも代えがたいものです。
ある団体のITシステム更改プロジェクトに携わったときのことです。
このプロジェクトはPMOが参画する予定ではありませんでしたが、大きなトラブルが発生したため、急遽投入されました。
トラブルとは、度重なる不具合が発生し、顧客側のステークホルダーとの関係が破綻していた事です。
プロジェクト途中でのマネージャー交代は大きな混乱になりかねません。
そのため、PMOが不具合の解消と顧客との交渉を受け持つことになりました。
ステークホルダーとの関係破綻は、信頼関係を再構築する以外に方法がありません。
現状の課題を整理し、段階的な課題の解消、およびスケジューリングして、不具合の解消に乗り出します。
不具合の解消方法やスケジュールを、ステークホルダーへ細かく報告します。
最初は関係性の悪さから、アポイントすらも取れない状態が続きました。
粘り強くコミュニケーションをとること半年、ようやく関係を修復し信頼を取り戻すことができました。
最終的には、関係修復できたステークホルダーの全面的な支援を獲得し、プロジェクト成功を達成できました。
何よりステークホルダーからお礼を言われたときは、今までの苦労が報われた瞬間となりました。
マネジメントスキルの習得
マネジメントスキルの習得もやりがいの1つです。
案件が立て込み、経験者が複数のプロジェクトに同時に組み込まれ、工数が不足する事案が発生しました。
発生した原因は、それぞれのプロジェクトが単独のWBSやガントチャートを利用し連携していないためです。
このケースでは、それぞれのプロジェクトでの開発工程を組み換え、メンバーの開発を重ならないように調整しました。
この時に最も効果があったのは、両プロジェクトを1つのプロジェクト管理ツールで可視化したことです。
チームやメンバーの工程を可視化し、メンバー重複を視覚的に表したことで調整がスムーズにすすみました。
このように、新たなスキルを習得し経験と実績を積めばキャリアアップへの道も開けるでしょう。
習得したスキルを利用して資格を取得するものおすすめです。
専門性の高いPMO人材として認定されることで、市場価値が高まり将来的な転職にもメリットが生まれます。
PMOの資格については、次のリンクに詳しく解説しています。ご参照ください。
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の資格について
https://www.x-over.co.jp/consult/pmo/pmo-certification
会社への貢献
会社への貢献もやりがいの1つです。
困難なプロジェクトの成功は会社への貢献となります。
さらに全社的な業務効率化と生産性向上をもたらし、会社の収益も向上が見込めます。
プロジェクト成功の経験と実績により、プロジェクト推進のエキスパートと認識されれば社内での評価も高まります。キャリアを積むとともに、年収アップも見込めるでしょう。
「つらい」・「きつい」と感じること
PMOは大規模プロジェクトや、難易度の高いプロジェクトにマネジメントの専門家として投入される傾向があります。ここではPMOとして参画したときに、きつい・つらいと感じたことを紹介します。
責任が大きい
PMOはプロジェクトマネジメントの専門家として、プロジェクトに参画します。
そのため、PMOに対する期待値が高く、プロジェクトに対する責任がどうしても高くなる傾向があります。
パンデミック等のやむを得ぬ理由であっても、プロジェクトの失敗を非難される場合があります。
プロジェクトの成功を目的とする責任の大きさから「きつい」と思うことがあります。
評価されにくいこともある
PMOはプロジェクトマネージャーを支援し、プロジェクトの成功を下支えする存在です。
そのため、PMOの効果がはっきりわからず、評価されにくいこともあります。
例えば、プロジェクトが順調に進み成功した場合、プロジェクトマネージャーが評価されてもPMOが評価されないケースがあります。
プロジェクト支援という性質上、評価されにくい組織であることは「つらい」と思うこともあります。
調整役としてのストレス
PMOは調整役となるケースがあります。
特にプロジェクトメンバーの調達においては、関係各所と調整しなければなりません。
また、大規模プロジェクトでは調整する関係者が膨大になる場合もあります。
調整が上手くいかず、中には敵対的な態度をとる部署もあるでしょう。
このような場合の調整は心身ともに疲れ「きつい」と感じることもあります。
PMOが今、なぜ必要なのか?高まる需要の背景
現代のビジネス環境において、PMOの役割はますます重要性を増しています。
なぜ今、多くの企業がPMOを必要としているのでしょうか。その背景には、以下のような要因があります。
複雑化するビジネス環境とプロジェクトの多様化
今日の企業は、DX推進、グローバル展開、新規事業創出など、かつてないほど複雑で多様なプロジェクトを同時に推進しています。
これらのプロジェクトは、それぞれ異なる目的、ステークホルダー、技術、そしてリスクを抱えています。
単一のプロジェクトマネージャーだけでは、これらの複雑な要素をすべて管理し、成功に導くことは非常に困難です。
PMOは、組織横断的にこれらのプロジェクトを俯瞰し、全体の最適化を図ることで、企業全体の目標達成に貢献することが可能であるため、その需要は高まっています。
プロジェクト成功率を高めるため
予算超過、納期遅延、品質問題など、プロジェクト失敗の原因は多岐にわたります。
PMOは、標準化されたプロセスやツールの導入、リスク管理の徹底、進捗状況の可視化を通じて、プロジェクトのガバナンスを強化します。
これにより、問題の早期発見と対策が可能となり、プロジェクトの成功率向上に大きく寄与します。
人材不足と組織的なナレッジ蓄積の必要性
前述の通り、経験豊富なプロジェクトマネージャーは限られており、その育成には時間とコストがかかります。
PMOは、個々のプロジェクトマネージャーに依存するのではなく、組織全体でプロジェクトマネジメントのノウハウを蓄積し、共有する役割を担います。
そうすることで、新人プロジェクトマネージャーの育成を支援し、組織全体のマネジメント能力を底上げすることができます。
投資対効果(ROI)の最大化
企業がプロジェクトに投じるコストは決して少なくありません。
PMOは、リソースの最適配分、重複作業の排除、リスク軽減などにより、プロジェクトの効率性を高め、無駄な投資を削減します。
これにより、企業はプロジェクトから得られる投資対効果(ROI)を最大化することができ、経営戦略の達成に直結します。
これらの背景から、PMOは単なるプロジェクト支援組織ではなく、企業の競争力を高めるための戦略的な投資として認識されるようになっています。
PMOのキャリアパスと将来性
PMOの仕事は辛いことやきついことも多々ありますが、やりがいも多く将来性も高い仕事です。
ここでは、PMOとして経験を積んだ後の具体的なキャリアパスや、その将来性について解説します。
PMOとしての専門性深化
PMOの仕事は多岐にわたりますが、特定の分野に特化して専門性を深めることができます。
例えば、リスクマネジメント、品質管理、コスト管理、ポートフォリオマネジメントなど、自身の得意分野を見つけ、その専門家として組織内で唯一無二の存在になる道があります。
専門性が高まることで、より高度なプロジェクトへの参画や、社内外のコンサルティング案件への関与も期待できます。
マネージャーへの転身・昇進
PMOで培ったプロジェクト推進やマネジメント支援の経験は、そのままプロジェクトマネージャーとしての素養となります。
PMOとして全体を俯瞰し、多くのプロジェクトの課題解決に携わることで、プロジェクトマネジメントの「型」を習得できます。
また、複数の関連するプロジェクトを統括する管理職など、より上位の役職へ進む道もあります。
PMOとして全社的な視点でプロジェクトを見つめ、リソース配分や戦略策定に関与する経験は、これらの役割で求められる高度な視点と判断力を養う上で非常に役立ちます。
将来的に、自らがプロジェクトの責任者として指揮を執りたいと考える方にとって、PMOは非常に有効なステップアップの機会となるでしょう。
コンサルタントとしての独立
PMOとして培った豊富な経験と専門知識は、企業からの需要が高い「プロジェクトマネジメントコンサルタント」としての独立を可能にします。
様々な企業のプロジェクトに外部の専門家として関与し、課題解決や組織変革を支援する仕事は、より大きな影響力と自由度を持つキャリアパスとなります。
AI時代に求められるスキルが身につく
生成AIの進化により、定型業務の自動化が進む中で、PMOの役割はますます人間ならではのスキルが求められるようになります。
複雑なステークホルダー間の調整能力、予期せぬリスクへの対応力、そして戦略的な思考力は、AIには代替されにくいPMOの強みです。
むしろAIは、データ分析や進捗管理の効率化ツールとしてPMOの業務を強力に支援し、PMOはより本質的なマネジメント業務に集中できるようになるでしょう。
このため、PMOは今後も需要が高まることが予想される、将来性の高い職種と言えます。
記事のまとめ
PMOとはプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして、プロジェクトを成功に導く存在です。
PMOのスキルや知識、経験は、これからのプロジェクト運営にとって欠かせないものとなるでしょう。
やりがいもあり、将来的なキャリアアップに結び付く有望な職種です。
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