PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の資格について

公開日:2021.10.26(火) 更新日:

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の資格について

PMOとは

未経験からPMOを目指す方法をご存じですか?

PMOはプロジェクトを支援し成功に導く組織です。

近年、技術の進化や顧客ニーズの多様化によりプロジェクトは複雑化し、PMOの重要度はますます高まっています。

重要度と将来性の高いPMOに、未経験から目指す方法とPMO求人の探し方を解説します。

PMOとは

PMOとは?

PMO(Project Management Office)は企業のプロジェクトを横断的に支援し、プロジェクト全体の成功確率を高めることを目的とした組織です。

プロジェクトマネージャ(PM)が特定のプロジェクトに専念するのに対し、PMOはPMがプロジェクト遂行に専念できるようにサポートする役割になります。

PMが本来のマネジメント業務に集中できる環境を整備することで、プロジェクトの成功確率は飛躍的に高まるといえるでしょう。

詳しくは以下のリンクをご参照ください。

PMOの仕事内容

PMOの仕事内容

PMOの仕事内容は、担当する役割によって大きく異なります。

それぞれの仕事内容と求められるスキルは以下の通りです。

PMOアドミニストレータ

PMOアドミニストレータは、主にプロジェクトに関連する事務作業を担当しPMを補佐する役割です。

主に以下の作業を担当します。

  • プロジェクト関連資料の作成・管理
  • 会議のスケジュール調整や会議資料の準備
  • 進捗管理やリスク管理などの管理業務

一見すると地味な業務が多いように感じられるかもしれませんが、PMの近くで実務のプロジェクトマネジメントを学べるため、未経験者がPMOのキャリアをスタートする上で有効な役割と言えるでしょう。

PMOエキスパート・PMOマネージャ

PMOエキスパートやPMOマネージャはPMOアドミニストレータよりも専門性の高い役割です。

PMOエキスパートはプロジェクトマネジメントの教育・研修を実施したり、全社のプロジェクト標準を制定したりして専門知識を活かした高度な支援を行います。

PMOマネージャは、PMO組織全体の戦略立案、運営、PMOメンバーの育成など、PMO組織そのもののマネジメントを担当し、組織全体のプロジェクト遂行能力の向上に責任を持ちます。

両者とも深い知識と豊富な実務経験が不可欠で、組織全体のプロジェクト成功に大きく貢献できる非常にやりがいのある役割と言えるでしょう。

PMO求人の募集状況とその特徴

PMO求人の募集状況とその特徴

PMOはビジネスを推進する上で、非常に需要が高い手法となっています。

そして、その業務を担当するPMOコンサルタントは、企業にとって今後も高いニーズを保つ、またはさらに高くなっていく存在になっていくことが予想されます。

多くの企業がPMOコンサルタントの獲得を目指しており、PMOの役割を担える人材は基本的に仕事に困ることはないでしょう。

よくあるプロジェクトとは?

PMOの求人情報を確認すると、以下のようなプロジェクトをよく目にします。

  • 経営戦略、組織戦略、販売戦略などの立案
  • システム開発・導入の推進
  • 社内業務の改善

プロジェクトはどんな業界でも企画されます。そのため、上記であげたものはほんの一例に過ぎず、他にも様々なプロジェクトが存在します。

それぞれのプロジェクトに個々の要件や特徴があるため、PMOメンバーはその特色に合わせ臨機応変に対応していくことが求められます。

具体的な勤務実態とは?具体的な業務、月給、残業の有無に関して

PMOの勤務実態や業務内容は個々のプロジェクトに強く影響を受けます。

プロジェクトによっては残業が多いなど体力的に厳しい勤務になることや、特殊な役割を担うこともあります。

そのため、PMOメンバーにはプロジェクトに合わせて臨機応変に役割を果たしていく力が求められますが、まずはPMOの一般的な働き方を知ることが大切です。

具体的な業務

PMOは管理関連の業務が基本的な役割になります。

大規模なプロジェクトであっても、常に全体の状況を把握し、各チーム、部署、メンバーと適宜コミュニケーションを取りながらプロジェクトを確実に推進します。

経営層と仕事をすることもあれば、エンジニアと一緒に開発関連のタスクを実施することもあります。

主に以下のような業務を担当します。

  • プロジェクトのルールの標準化
  • 予算、進捗、スケジュール、品質、リスク、などの管理
  • プロジェクトメンバーの教育、個別業務の支援

PMOはどの程度の給与・賞与をもらっているか

PMOの月給は基本的には高くなりますが、メンバー個人の経験やスキルに大きく左右されます。

PMOはその役割から高い学歴と豊富な経験を持つ人材が採用されるイメージがありますが、新卒の社会人が就くことも可能であるため、低い場合もあります。

非常に需要が高い職種であることや、人材を育てる上で理想の環境であることから、新人を積極的に採用する企業が多くなっています。

PMOの月給としては低いものでは25万円程度です。

ただ、平均的な社会人の月給と比べると高くなっています。

100万円程度の月給を提示する求人は決して珍しくなく、高い場合だと200万円を超える求人もあります。

求人募集サイトを確認すると、高い年収を得られる職種になっていることが分かります。

諸手当はあるのか

企業やプロジェクトによりますが、PMOにも手当はあります。そして、PMOはその業務内容から手当が発生しやすい職種でもあります。

プロジェクトを成功させることが責務になるため、期日までに予定された成果物を作成することが求められます。

繁忙期は特に残業手当、深夜手当、休日手当などが付くことが多くなります。

また、様々な部署とコミュニケーションを取ることや、採用されるメンバーは管理職であることも多いため、出張手当や役職手当などをもらうことも多くなっています。

残業はどの程度発生するか

そして残業有無に関しては、プロジェクトの状況に強く影響を受けます。

全く残業時間が発生しないプロジェクトもあれば、炎上している案件など残業や土日出勤が多い現場もあります。

特に、システム開発などITプロジェクトは想定外の問題が発生することが多く、残業もある程度は覚悟しておく必要があるかもしれません。

ITエンジニアが歓迎される理由とは?

近年は特にシステム開発関連のプロジェクトが多いため、ITエンジニアとしての職歴があれば大きな強みになります。

求人サイトを確認すると、その多くでIT関連のスキルやエンジニアの勤務経験が歓迎要件として記載されていることが分かります。

現代は社会的にDXなどIT技術を利用した仕組みが多く開発されており、企業でもその傾向は変わりません。

また、経済産業省もホームページで企業に向けてDXの必要性を訴えています。

このような状況から、ITエンジニアの勤務経験を持つ人材は需要が高くなっていおり、PMOとしての経験がなくとも、採用される可能性は十分にあります。

本メディアを運営する株式会社クロスオーバーでも、今までエンジニアとして業務をしてきた方でもPMのような管理経験があれば、採用の可能性はあります。

※参考サイト(経済産業省)

PMOのリモートワーク案件について

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)のリモートワーク求人は、従来は少ないと考えられていましたが、近年の状況変化により増加傾向にあります。

PMOの仕事は通常、チームの進捗管理やクライアントとの打ち合わせなど、対面でのコミュニケーションが重要視される傾向がありました。

しかし、DX化や働きやすさ推進を目的としてリモートワークOKの案件が増えてきているのです。

具体的には、フリーランススタートの案件データによると、PMOの全案件2,212件のうち、リモート/在宅ワーク案件は517件存在しています。(2025年5月15日現在)

フルリモートではなくても、週1〜2日のリモートワークが認められるケースも増えています。

ただし、リモートワークのPMO案件であっても、緊急時や重要な局面では完全出社が必要となる可能性があります。

そのため、リモートで働く場合でも、必要に応じて出社できる状態を維持することが重要です。

参考:フリーランス求人・案件 | フリーランスITエンジニア向け求人・案件サイト【フリーランススタート】

未経験者の求人に関して

未経験から転職する方法

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進などによりプロジェクトの数が増加しており、それに伴いPMOの需要も急速に高まっています。

PMOアドミニストレータのようなサポート業務が中心となるポジションでは、最初からプロジェクトマネジメントに関する高度な専門知識や豊富な実務経験を必須とはしていません。

また、PMO人材は多くの企業で不足しており、未経験者であっても育成を前提とした採用を行う企業が増えています。

まずは自身の持つ実務能力やスキルを確認し、それを活かせる求人を探すことから始めてみるとよいでしょう。

経験不問求人の特徴

前述した通り未経験の求人は多数ありますが、求められる条件が全く無いかと言われると、もちろんそうではありません。

未経験であっても、その企業やプロジェクトによって、求められる人物像、資質があります。未経験の求人では、たとえば以下のような条件が募集要項に掲載されています。

  • PMOとしてキャリアを積んでいきたい方
  • 自分から質問できる方
  • 基本的な書類作成能力がある方。
  • PMO業務について個人で学んでいける方

未経験の場合、専門的なスキルというよりは仕事に対する姿勢が求められることが多いようです。

当然、選考過程では面接もあるため、求められる条件に合わせて自身の資質を適切にアピールする必要があります。

どんな人が向いている?

どんな人が向いている?

PMOはプロジェクトを円滑に進める役割のため、以下の特徴が望まれます。

  • コミュニケーション力が高い
  • サポートが得意である
  • さまざまなプロジェクトを経験したい

PMOは社内外の多様な関係者と関わり利害調整や合意形成も担うため、特に高いコミュニケーション力は重要です。

ただし、これらの適性は最初から備わっている必要はなく、業務経験を通じて習得していけばよいのです。

PMOはやめとけと言われる理由

PMOに対して「やめとけ」といった否定的な意見が聞かれることがあります。

主に以下の理由によるものです。

  • 地味な事務作業が多い
  • プロジェクトの成果が直接自分のものとして評価されづらい

特にPMOアドミニストレータの業務は資料の作成やスケジュール調整といった事務作業が中心です。

プロジェクトの戦略立案や意思決定に直接関わる機会が少ないと感じ、単調な作業にやりがいを見出しにくいと感じる人もいるかもしれません。

しかし、PMOの支援はプロジェクトを円滑に進めるための下支えであり、企業戦略の達成や組織全体の生産性向上に貢献する重要な業務です。

また、プロジェクトを成功に導く経験は自信と成長に繋がり、大きなやりがいとなるでしょう。

詳しくは以下のリンクをご参照ください。

【スキルアップに】おすすめのPMO資格

【スキルアップに】おすすめのPMO資格

PMOとしてのスキルを客観的に証明し、キャリアアップを目指す上で資格取得は有効な手段の一つです。

未経験からPMOを目指す際におすすめの資格は以下の2つです。

この資格取得により基本的なプロジェクトマネジメントの知識を持っていることを対外的にアピールできるでしょう。

詳しくは以下のリンクをご参照ください。

未経験者の求人の探し方

未経験者の求人の探し方

PMOの求人を効率的に見つけるには、自身が目指すキャリアに合った求人を見つける必要があります。

PMO未経験者向けの求人を見つけるための主な方法は以下の通りです。

PMO専門企業への応募

PMO専門企業は人材育成に注力している場合が多く、未経験者での正社員採用も積極的に行っている傾向があります。

PMO育成プログラムや研修制度を設けている企業が多く、未経験からでも体系的にPMOとしての知識やスキルを習得できる環境が期待できます。

PMOとして体系的に専門性を高めたいと考えている未経験者にとって、PMO専門企業への応募は有効な選択肢といえるでしょう。

企業のウェブサイトや採用情報を確認し、育成体制やキャリアパス、プロジェクト事例を調べてみることをお勧めします。

求人サイト転職サイトでの検索

大手の求人サイトや転職サイトでは、数多くのPMO求人が掲載されています。

「未経験者歓迎」「研修制度あり」といった絞り込みで、未経験者でも応募可能なPMO求人を効率的に探すことが可能です。

ただし、PMOと記載されていても実際にはプロジェクトの限定的なサポート業務であったり、十分な研修制度がなく体系的なPMO育成ができなかったりするケースもあります。

求人情報に記載されている仕事内容やスキル、研修制度の有無などをしっかりと確認することが重要です。

転職エージェントの活用

IT・コンサル業界特化型の転職エージェントの活用も有効な手段の一つです。

キャリア相談を通じて適切な求人提案を受けられるため、効率的にマッチする企業を見つける可能性が高まります。

ただし、任せきりにせず自身の希望を明確に伝え、エージェントとしっかりすり合わせましょう。

SIerや事業会社への応募

システムインテグレーター(SIer)や、一般の事業会社にもPMO求人を募集している企業があります。

特定の業界や業務知識を深めながら、プロジェクトマネジメントの経験を積むことができる可能性があります。

ただし、未経験者がいきなり専任のPMOとして採用されるケースは少なく、まずはプロジェクトメンバーとして配属され、プロジェクトの実務経験を積むことからスタートするのが一般的です。

実際にPMO業務へ関わる機会がどの程度あるのかについて、企業の採用ウェブサイトや面接などで事前にしっかりと確認しておくとよいでしょう。

紹介(リファラル採用)、人脈の活用

近年、自社の社員からの紹介を通じて新たな人材を採用する「リファラル採用」を導入する企業が増加しています。

リファラル採用や人脈を活用する最大のメリットはその企業の社風や働き方、PMOの活動について実際に働いている人から詳しい情報を得られる点です。

しかし、紹介された案件が必ずしもPMO専任のポジションであったり、未経験者向けの充実した育成プログラムが用意されたりしているとは限りません。

紹介であっても、自身の希望やキャリアプランと本当に合致するかどうかを慎重に判断することが大切です。

記事のまとめ

記事のまとめ

PMOは、企業や組織におけるさまざまなプロジェクトを横断的に支援し、その成功確率を高めるために不可欠な役割を担う組織です。

近年、技術の急速な進化や顧客ニーズの高度化・多様化に伴い、プロジェクトの複雑性は増す一方であり、PMOの重要度はますます高まっています。

PMOはプロジェクトの成功を通じて組織に貢献できる、非常にやりがいがあり将来性も高い魅力的な仕事です。

PMOの経験なしでもITエンジニアなどの経験があれば、PMやPMOとして採用されることも多いため、エンジニアのキャリアアップにもおすすめです。

PMOというキャリアへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?