PMOアドミニストレータとは?マネジメントに必要な人材を詳しく紹介

公開日:2024.12.20(金) 更新日:

PMOアドミニストレータはプロジェクト推進に欠かせない存在。業務や役割紹介!

ITコンサルタントとは

PMOアドミニストレータはプロジェクトをスムーズに進めるための黒子のような存在です。

PMがマネジメントに専念できるように、ドキュメントの作成、会議の運営、情報の共有等を行います。

目立つ役割ではありませんが、プロジェクト推進になくてはならない存在です。

本記事ではPMOアドミニストレータの業務内容や必要なスキルについて解説します。

PMOアドミニストレータとは

PMOアドミニストレータとは

PMOアドミニストレータとは、直接プロジェクトマネージャー(PM)を支援する役割です。

プロジェクトはPMが責任者となり推進します。しかし、生成AIを代表とする技術の急激な進化により、プロジェクトもスピードと変化が求められるようになりました。

PMはステークホルダーとの調整や、進捗確認、会議の開催といったマネジメント外の業務が多岐にわたり、本来のマネジメントに集中できないおそれがあります。

PMOアドミニストレータは文書や議事録作成、会議のスケジューリング等の調整を行い、PMが本来のマネジメントに集中する状況を作り出すことが主な役割です。

PMOの説明は、以下の日本PMO協会HPをご参照ください。

出典:PMOとは?(日本PMO協会)
https://www.npmo.org/pmoとは/

業務内容と役割

業務内容と役割

PMOはPMをサポートし、プロジェクトをスムーズに推進する役割です。

その中でもPMOアドミニストレータは、事務局に近い業務内容という特徴があります。また、PMOアドミニストレータはプロジェクトに参画し、現場でPMを直接支援します。

PMOアドミニストレータの主な業務内容は以下の通りです。

  • スケジュール調整
  • 人的リソース調整
  • 資料や議事録等のドキュメント作成
  • 会議の開催
  • 進捗の管理支援
  • リスク分析と管理

プロジェクトの基本的な内容ですが、PMOアドミニストレータのサポート精度が高ければPMにかかる負担を大きく軽減できるメリットがあります。

これにより、PMがよりプロジェクトに専念でき、プロジェクトが成功する可能性が高くなります。

【実務イメージ】PMOアドミニストレータの一日の流れ

8:45 出社・準備 前日のメモやタスクを見直し、今日やることを書き出します。PMに相談したいことは要点だけにまとめておきます。
9:15 朝会 各メンバーの「できたこと・困っていること・次にやること」を短く共有。話が広がりすぎたら後で話すリストに移し、会議をコンパクトに保ちます。終わったら決まったことを一文でチャットに流します。
10:00 予定と資料の整え直し カレンダーを確認して必要な打ち合わせを入れ、資料のひな型を準備します。相手の負担が少なくなるよう、依頼は「何を・いつまでに・なぜ必要か」を一目で分かる形にしておきます。
11:30 午後の会議準備 今日の会議で決めたいことを先に書き出し、資料は見出しと要点だけでも先に共有。参加者が読みやすいように関連リンクも添えます。
13:00 定例の運営 目的を冒頭で再確認し、話題がずれたらやさしく戻します。迷いが出たところはその場で選択肢を並べ、次の一歩が誰の何かまで決めます。
14:00 まとめと共有 会議の内容を短い要約にして配布します。長文より「決まったこと・お願いしたいこと・期限」の三点をはっきりさせるのがコツです。
15:00 困りごとの解きほぐし 「ふわっとした課題」を具体的な作業に分けます。たとえば「品質向上」なら「テスト項目を洗い出す」「担当と日程を決める」といった形に。動き出しやすいサイズまで小さくするイメージです。
16:30 確認とフォロー 午後に決まった内容をもう一度目で追い、抜けや勘違いがないか関係者に軽く声かけ。合意がずれそうなら短い打ち合わせをさっとセットします。
17:30 明日の準備 未完了のタスクに期限を入れ、必要な人に優しくリマインド。明日の会議は目的がはっきりしないものを減らし、資料リンクを事前に貼って準備時間を短くします。
18:15 振り返り 今日は何が進んだかを一言で記録し、明日よくすることを一つだけ決めて終わり。派手さはなくても、こうした積み重ねがPMの時間を生み、プロジェクトを前に進めます。

必要なスキル

必要なスキル

PMOアドミニストレータに必要なスキルは、主に以下の通りです。

文書作成能力 PMOアドミニストレータは、プロジェクトに必要な文書、議事録、報告書等を作成します。分かりやすい文章作成スキルが必要です
コミュニケーション能力 PMOはPMの代わりに顧客や関係各所と調整を行います。スムーズにコミュニケーションをとれるように、コミュニケーション能力は必須ともいえるスキルです
リスクマネジメント リスクのないプロジェクトはありません。リスクが問題に発展する前に検知し、事前に対策を講じる必要があります。そのため、リスクマネジメントは必須ともいえるスキルです
コストマネジメント プロジェクトの目標として費用面が最も重要視されます。そのため、収支や経費といったコストを管理するスキルは必須です

PMOアドミニストレータのキャリアアップ

PMOアドミニストレータのキャリアアップ

PMOアドミニストレータはPMOにおいて、最も基礎的なキャリアになります。

PMOアドミニストレータとして経験を重ねれば優秀なPMO人材と認定され、より高い職種へのキャリアアップが望めるでしょう。

ここでは、PMOアドミニストレータの上位職種を紹介します。

PMOエキスパート

PMOエキスパートとは、PMOアドミニストレータの上位職種でプロジェクトにおけるルール、環境面を整備する役割です。

プロジェクトの目的は、営業戦略の達成です。

企業にはさまざまなプロジェクトが行われており、いずれの案件も失敗できません。

企業のプロジェクトを持続的に成功させるために、プロジェクトマネジメント手法を標準化し、PMの質に依存しない仕組みづくりが必要です。

PMOエキスパートはマネジメントの標準化や、ルールの策定、統一したツールの選定といった環境面を整備します。

また、これらをPMへ教育し、全社的なPM人材の育成も担うのです。

PMOアドミニストレータがプロジェクトを直接支援するのに対し、PMOエキスパートはプロジェクトの環境を支援するという役割の違いがあります。

PMOマネージャー

PMOマネージャーとはPMOにおける最上位の職種で、PMOチームのマネジメントを行います。

企業のプロジェクトは複数同時に行われます。そのためPMOチームは各プロジェクトを支援しますが、支援が不均一であってはなりません。

そのため、PMOマネージャーは各PMOチームが一定水準のパフォーマンスを発揮できるように管理します。

また、PMOマネージャーはPMOメンバーへの教育も行い、PMO人材を育成する役割も持ちます。

このように、PMOマネージャーはプロジェクトを直接支援するのではなく、PMOチームの底上げにより全社のプロジェクトを成功に導く役割です。

また、優秀なPMOマネージャーがいない場合は、コンサルタントからPMOマネージャーを招く場合があります。

未経験からPMOアドミニストレータになれる?

未経験からPMOアドミニストレータになれる?

結論から言うと、未経験からでもPMOアドミニストレータになることは可能です。

実際に大手転職サイトでも未経験OKの求人が掲載されています。

PMOアドミニストレータは、上述したように専門知識だけでなく「段取りを整える」「人と人をつなぐ」といった力が大切な仕事です。

事務や営業サポート、総務などで培った予定調整、資料づくり、議事録、ちょっとした気配りはそのまま活かせます。

現職で「準PMO」として働きスキルアップを

未経験からPMOアドミニストレータになるためには、在職中でもできることは多くあるので、スキルアップを目指しておくと良いでしょう。

具体的には「準PMO」として働いてみることを意識することです。

上述の『業務内容と役割』で解説したような業務はPMO以外でも発生するケースが多いです。

  • スケジュール調整
  • 人的リソース調整
  • 資料や議事録等のドキュメント作成
  • 会議の開催
  • 進捗の管理支援
  • リスク分析と管理

特に会議前後の業務はPMOとしてのスキルが身につく機会が多いので、積極的に関与してくことをおすすめします。

<すぐに意識できる具体例>

会議前日 議題の背景と「今回どこまで決めるか」を会議参加者にメール等で共有します。
会議当日 冒頭で目的を再確認し、脱線したら「その話は別時間に回しますね」と優しく戻すなど、会議をスムーズに進行させる役割に徹底する。
会議終了後 終了直後は三行で要約します。この時意識することは「決定」「担当」「期限」の3つです。長文の議事録は後でよく、まずは全員が動ける最低限の合意を素早く見える化しておきましょう。

応募段階で意識することは?

応募準備では職務経歴書を「成果の可視化」に寄せることをおすすめします。

具体的には以下のようなものが成果として挙げられます。

  • 定例会の所要時間を20%短縮
  • 依頼から回答までの平均時間を2日→当日内に短縮
  • 不明確なタスクを分解して着手率を向上など

また、それらの成果をどうやって実現したかの再現手順も具体的に添えると説得力を増加させることが可能です。

さらに、PMO関連の資格を取得することで、客観的なスキルを応募先にアピールすることもできるので余裕があれば取得を目指すこともおすすめです。

具体的な資格については、次の章で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

PMOの資格

PMOの資格

PMOアドミニストレータの業務に資格は必要ありません。しかし、資格の取得はプロジェクトマネジメントの知見を対外的に証明でき、デメリットはありません。資格の取得はキャリアアップや年収アップを期待できるため、積極的に取得することをおすすめします。

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(NPMO認定PJM-A)

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格は日本PMO協会が認定する資格の1つで、プロジェクトの基礎的な知識とスキルを持つことを証明できます。

主に以下の知識とスキルが認定内容です。

  • プロジェクトの概念
  • プロジェクトマネジメントの概念や役割
  • 進捗管理の手法
  • リスク・課題管理の方法
  • コスト管理の方法

PMOアドミニストレータは、まずプロジェクトの基本を習得する必要があるため、最初に取得すべき資格といえます。

資格取得後はプロジェクト現場で活用できるとともに、履歴書や名刺への掲載が認められ対外的にアピールできるメリットがあります。

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格の詳細については以下のリンクをご参照ください。

出典:プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(日本PMO協会)
https://www.npmo.org/pjma/

PMOスペシャリスト認定資格(NPMO認定PMO-S)

日本PMO協会が認定するPMO資格の1つで、PMOの知識を証明する資格です。資格は2つに分かれており、それぞれの認定内容は以下の通りになります。

  • 資格はPMOスペシャリスト(★)認定資格

PMOの基礎知識を認定する資格です。具体的には主に以下の習得を認定します。この資格を取得すれば、PMOのスキルをアピールできるでしょう。

  1. PMOの概念
  2. PMOの導入手法
  3. PMOを用いた活用例
  4. リスクの抽出方法
  5. プロジェクト支援の計画策定
  • PMOスペシャリスト(★★)認定資格

PMOの知識と技術を認定する資格です。PMOマネージャー向けの資格になります。具体的には主に以下の習得を認定します。この資格を取得すれば、PMOチームを統括できることをアピールできるでしょう。

  1. PMO組織の設計
  2. PMO人材の育成方法
  3. プロジェクトを支援するためのフレームワーク設計

いずれの資格も、履歴書や名刺に掲載することでPMOとしてのスキルを対外的に示すメリットがあります。積極的な取得をおすすめします。

出典:PMOスペシャリスト(★)認定資格
https://www.npmo.org/pmo-s-single/

出典:PMOスペシャリスト(★★)認定資格
https://www.npmo.org/pmo-s-double/

PMP資格

PMP資格は、プロジェクトマネジメントの手法を認定した国際的な資格です。

プロジェクトマネジメントの管理手法には、プロジェクト管理の標準的な手法を体系的にまとめたガイドラインであるPMBOKが有名です。

そのPMBOKを習得したことを認定する試験がPMP資格になります。

PMP資格は国際標準の資格であり、日本のみならず海外でもプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであることを対外的に示すメリットがあります。

受験資格の要件や難易度が高く、3年ごとの更新が必要ですが、習得したい資格の1つです。

出典:PMBOKガイド
https://www.pmi.org/standards/pmbok/about

出典:一般社団法人 PMI日本支部
https://www.pmi-japan.org/

記事のまとめ

記事のまとめ

PMOアドミニストレータは、プロジェクトを支援するPMOの基礎的な職種になります。

事務的な作業が多く、つまらないと感じることもあるかもしれませんが、プロジェクト推進において、必須ともいえる重要な役割です。

プロジェクトがスムーズに完了すれば、PMやメンバーから感謝されやりがいを感じるでしょう。

これから、プロジェクトを成功させるためにPMOの役割はより重要になってきます。

プロジェクトマネジメントに精通した人材として、PMOアドミニストレータへのキャリアを形成してはどうでしょうか?