PMOの必要性とは?プロジェクトに導入するメリットや主な役割を徹底解説

公開日:2024.04.15(月) 更新日:

企業にとって最もPMOの必要性の高いプロジェクトは何?

PMOの必要性とは?プロジェクトに導入するメリットや主な役割を徹底解説

PMOは組織でプロジェクトが企画されると作られます。企業では常時多くのプロジェクトが推進されているため、会社員であればPMOと一緒に仕事をしたこともあるかと思います。

しかしプロジェクトマネジメント関連の業務経験があまり無い方であれば、PMOの必要性に疑問があると思います。

「わざわざ全体を管理するチームなど配置しなくても、チームごとに管理できるのでは?」と考えている人も一定数いるのではないでしょうか?今回はPMOの必要性について取りあげます。

そもそもPMOとは

そもそもPMOとは

PMOとはプロジェクト全体を管理するチームです。

プロジェクトを成功させるため戦略を立て、状況を常に監視します。想定外の問題が発生した場合などは率先して対応し、解決まで導くことが責務になります。

対処すべき課題はプロジェクトにより異なりますが、たとえば「予算を超過してしまう」や「トラブル発生により期限までに目的が達成できなくなる」などの問題が考えられるでしょう。

このような場合、PMOは音頭を取り問題解決に努めます。

具体的には、ステークホルダーと交渉し追加予算を獲得する、要件に優先順位をつけ最低限の目的を達成する、などの対策を講じます。

PMOの役割と職種

プロジェクトを推進していくために必要な業務は数多くあります。そのため、PMOの中でもメンバー同士で役割を分担し仕事を進めます。

割り振り方は企業やプロジェクトによって異なりますが、役職ごとに役割を決めるのが一般的です。

PMOの場合、たとえば「アドミニストレーター」、「エキスパート」、「マネージャー」という役職に分けることがあります。

アドミニストレーターは、主に事務作業を担当します。主な仕事としては、打ち合わせなどのスケジュール調整、議事録の作成、備品の手配、などです。

エキスパートは、PMOの中核的な役割を果たします。業務はプロジェクトによって全く異なるものになりますが、たとえばITプロジェクトではエンジニアのタスクや課題のマネジメントなどが挙げられます。

マネージャーはPMOの指揮を取る立場です。

アドミニストレーターやエキスパートの仕事を管理します。自ら直接タスクをこなすのではなく、指示を出し対応させるのが主な仕事です。

また、PM(プロジェクトマネージャー)やPO(プロジェクトオーナー)の業務も補佐します。状況を報告し意思決定を支援する役割も担います。

どんなスキルを持つメンバーが必要?

PMOは基本的にマネジメントのスペシャリストで構成されるチームです。必要となるスキルはプロジェクトによって異なる部分ももちろんあります。

たとえば、経営関連のプロジェクトでは法律、ファイナンス、マーケティングなどの知識が求められるモノが多いでしょう。

しかし、ITプロジェクトではプログラミングスキル、業務改革関連のプロジェクトでは対象となる業務経験などが求められたりします。

ではPMOメンバーに求められるスキルはプロジェクトによって完全に異なってしまうのでしょうか?結論から言うとそうではありません。

特にマネジメント、コミュニケーション、リーダーシップなどのソフトスキルはどんなプロジェクトであっても必要です。

PMOは管理業務を通じてプロジェクトに貢献していく立場になります。どんなプロジェクトでもこの部分は変わりません。

マネジメントを適切に実施していく上で必要なソフトスキルおよび経験を持つメンバーを揃えつつ、必要に応じて専門スキルを持つメンバーも加えPMOを構築しましょう。

プロジェクトにおけるPMOの必要性とメリット

プロジェクトにおけるPMOの必要性とメリット

なぜPMOは多くのプロジェクトで導入されるのでしょうか?そのメリットはいくつもありますが、最大の理由は計画通りのスケジュールと予算で目的を達成できるようにすることでしょう。

「プロジェクトが成功する」とはどういう状態を指すのかを考えてみましょう。

たとえば、Salesforceを会社へ導入するプロジェクトがあったとします。

この場合、仮に導入を完遂できたとしても当初予定していた期限や予算をオーバーしてしまった場合、それは成功と言えるでしょうか?

おそらくほとんどの人が成功とはみなさないでしょう。

この例で言うと、Salesforceは顧客とのコミュニケーションを最適化するシステムであり、企業の収益を伸ばしていくことなどが導入の目的になります。

導入に費用がかかってしまえば、それだけ収益は下がります。

最悪の場合、得られた売上よりも導入費用の方が高くなるなど本末転倒な状況になってしまう可能性もあるでしょう。

スケジュールに遅延があった場合も同様のことが言えます。Salesforceの本稼働が遅れればそれだけ売上目標の達成は難しくなります。

このようにプロジェクトを推進する上で、スケジュールや予算を守ることは非常に重要です。

そのためには日々の進捗、リスク、課題などあらゆる要素の管理が必須になります。

PMOの配置はこのようなマネジメント業務の適正化という観点において大きなメリットがあります。

特に必要性が高い種類のプロジェクトとは?

特に必要性が高い種類のプロジェクトとは?

プロジェクトの種類は無数にあります。

たとえば、経営企画関連、新規事業の立ち上げ、既存業務の改革などさまざまです。

企業関係のプロジェクトは大規模であることが多く、基本的にPMOが設置されます。では現代で企業にとって最もPMOの必要性の高いプロジェクトは何でしょうか?

システム開発・導入関連が特に多い

システムの活用は圧倒的な業務効率化や付加価値の創出など多くの期待が持てます。

そのため企業プロジェクトでは特にシステム開発・導入案件が多いです。この種のプロジェクトでPMOとして活躍できる人材は非常に重宝されています。

オンプレミスが主流の時代から需要がありましたが、その時のシステムは基本的に高額です。

一昔前までは潤沢な資金を持つ企業でないとシステム開発や導入は厳しいものでした。しかし現代はクラウドサービスが普及する時代です。

SaaSなどシステムをサービスとして利用できるため、中小企業やスタートアップでも容易にシステム開発・導入は検討できます。

システム活用のハードルが下がったことは、ITプロジェクトが増えた大きな理由の一つと考えられます。

今後はどんなプロジェクトが増えることが予想される?

IT関連のプロジェクトは現時点でも非常に多いですが、今後もさらに増えていくことが予想されます。経済産業省は2030年時点で日本のIT人材が約80万人不足すると推計しています。

では具体的にどのようなプロジェクトがあるのでしょうか?求人・転職サイトなどでよく掲載される案件としては、たとえば以下のようなプロジェクトがあります。

  • SAPなどERPシステムの開発や導入
  • レガシーシステムの刷新およびデータ移行
  • セキュリティに関する仕組みの導入(ゼロトラスト、SASE、SOARなど)

上記で挙げた例は全体のほんの一部に過ぎません。IT技術は日進月歩で進化しており、AI、IoT、ブロックチェーン、VR、などの最新技術が社会にますます取り入れられています。

もちろんこの種のプロジェクトは非常に複雑であるため、適切なマネジメントが必要です。このような背景からPMOの必要性はさらに高まっていくことが予想されます。

出典:IT人材需給に関する調査(概要)

PMOの導入方法

PMOの導入方法

どんなプロジェクトでも基本的にPMO導入は有効です。

導入するかしないかでプロジェクトの成功率には大きな違いが出るでしょう。ただし、ただ導入するだけでは期待通りの効果が得られない可能性があります。

まずは「なぜ」導入するのか明確にする

それぞれのプロジェクトのニーズを適切に理解し、PMOの役割を決定する必要があります。PMOを導入する理由は何でしょうか?それはもちろんプロジェクトによって異なります。

PMOにはいくつか種類があり、それぞれサポート型、監視型、コントロール型、統合型などと呼ばれることもあります。

プロジェクトを成功させるにはPMOにどんな権限や役割を持たせるべきか最初によく考えることがポイントです。

必要な人材を獲得する

PMOの役割を明確にした後は、必要なメンバーをアサインします。

大規模なプロジェクトの場合、特定の専門人材の不足を補うため社外コンサルタントを投入することもあります。

プロジェクト立ち上げの時のみ実施すれば十分なわけではなく、他のフェーズでも状況によっては採用活動をする必要があることがポイントです。

たとえばシステム開発プロジェクトの場合、実装フェーズではシステムエンジニア経験のあるPMOコンサルタントが必要になることもあるでしょう。

システム開発ベンダなどから実装に関する問題がエスカレーションされた場合、PMO側でその詳細を理解し解決に向けて調整できる人材が必要です。

システムインフラ、セキュリティ、プログラミングなどの専門用語を難なく理解できる人材でないと対応が難しい場合が考えられます。

マネジメント可能な環境を整える

PMOを作っていくには、業務ルールの整備、ツールの導入なども実施が必要です。これらはプロジェクトを通じて随時対応していくものでもあります。

最初にベストプラクティスを参考に整え、実際にプロジェクトを進めながらPDCAを継続して実施していく手法が一般的です。うまくいかない部分を改善していくと良いでしょう。

こうすることでPMOというチーム、持つべき役割、マネジメント方針などを継続して適正化できます。

記事まとめ

記事まとめ

この記事ではPMOの必要性について解説しました。

特に大規模なプロジェクトや難易度が高いものになるとPMOの導入は必須と言ってもいいでしょう。

PMOメンバーの選定ももちろん重要で、そのプロジェクトのニーズに合う知識やスキルを持つ人材を配置する必要があります。

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