PMOの仕事が向いている人ってどんなタイプ?業務特性を含めて紹介

公開日:2022.06.15(水) 更新日:

PMOの業務が向いている人を仕事の特徴や役割から解説

PMOの仕事が向いている人ってどんなタイプ?業務特性を含めて紹介

近年ではPMO案件が増加傾向にあります。ITコンサルタントとして活躍されている方でも、PMOの案件にアサインされる機会も増えているのではないでしょうか。

一方で、PMO業務はITの仕事の中でも様々な特徴があります。その業務特性上、すべての人がPMOの仕事に向いているとは言えません。

それでは、どのようなタイプの方がPMOの仕事に適しているのでしょうか。この記事では、PMO業務の特徴に加え、PMO業務に向いている人について紹介します。

業務・職種としての特徴

PMO業務の特徴

まず、PMO業務の特徴について3つの観点から整理します。

プロジェクトマネジメントの専門部隊

PMOはプロジェクトマネジメントの専門部隊として仕事をします。PM(プロジェクトマネージャー)の補佐を行い、プロジェクトを成功に導くことはPMOの使命です。

そのために、進捗管理や課題管理などの手法を用いたプロジェクト管理業務の実施や、プロジェクト間もしくは他プロジェクトも含めて品質を向上・安定させるためのプロジェクト標準化などの業務を実施します。

もしも進捗や課題解決状況が不十分であれば、是正するためにPMOとして必要な改善指示を出すこともあります。

調整仕事も多い

PMOの仕事は調整仕事が多いといえるでしょう。必要な資金・人材などのリソースの調整、関係部署間のすり合わせ、ステークホルダーの利害調整など、PMOによる調整が必要となる場面は多岐にわたります。

PMOはプロジェクトの代表として、プロジェクト内外にわたって様々な調整を行わなければなりません。

また、事務的な面でいえば、プロジェクト全体の会議室の管理や議事録の周知、確認などもPMOの仕事です。

その他、経営向け報告資料を作成するにあたっても、プロジェクト内での意思統一を行うためには、調整が必要となります。

このように、PMOはプロジェクトの調整役としてコミュニケーションをとっていく必要があります。

年収面のメリットも

PMOの仕事をすることで、一般的には高い報酬が得られると考えられます。

PMOに限定した政府等の調査はなく、求人も非公開となっているケースが多いため正確な金額は不明ですが、正社員のポジションであれば平均で600万円から700万円程度が相場といえます。

もちろん、自身のランクやこれまでの経験、スキル、勤務する企業によって、待遇は大きく異なります。例えば、高いPMOスキルを持っている方であれば、1,000万円を超える年収も現実的といえます。

PMOとしてキャリアを積んでいくことで、年収面では十分にメリットがあるといえるでしょう。

それでは、どのような方がPMOの仕事に向いているのでしょうか。

以下では、「マネジメント力が高い人」「コミュニケーションが得意である人」「スキル向上意識が高い人」という3つの類型でPMOに向いている人について紹介します。

PMOの仕事が向いている人①:マネジメント力が高い

向いている人①:マネジメント力が高い

当然ながら、マネジメント力が高い人はPMOの仕事に適しているといえます。具体的には、どのような方が適任なのでしょうか。

PM経験が豊富であること

PMO業務において重要なのは、どれだけプロジェクト管理経験を積んできているかです。システム導入プロジェクトを進める上では想定しなかったような問題が多発します。

その際、教科書通りに対処することは難しく、問題が発生した都度、解決策を検討しながらプロジェクトを前に進めていく必要があります。

このような非定型の問題を解決する際に有効なのが、過去の経験を参考にすることです。全く同じような課題が発生することは少ないものの、類似した課題が発生することは多々あります。

このようなときに、経験が豊富であれば、過去の経験を参考にして最適と思われる解決策を導き出していくことができます。

PMを実施したことがあれば、システム導入プロジェクト管理における流れや起こりやすい課題などについての知見を獲得しているでしょう。

PMを実施した経験は、PMO業務において必ず役に立ちます。もちろん、PMの補佐などでプロジェクト管理を実施した経験であっても、有効に活用することができると思われます。

プロジェクト管理のポイントを押さえていること

PM経験が豊富であることはもちろんのこと、PMOの仕事においては知識面でもプロジェクト管理のポイントを押さえていることが求められます。

システム導入プロジェクトにおける管理手法である「進捗管理」や「課題管理」「リスク管理」「品質管理」などの実施方法はもちろんのこと、それらの各管理手法のコツを知っておくことが大切です。

例えば、課題管理であれば課題の重要度や優先度を分けることの大切さや、課題解決までの追いまわし、課題の担当者の明確化、進捗に影響を及ぼさないための期限設定など、様々な観点があります。

これらのポイントを押さえられていると、PMO業務をスムーズに進めることができるでしょう。

よって、PM経験に加えて、PM経験を通してこれらのプロジェクト管理のポイントについて押さえられている人がPMOに向いているといえます。

PMOの仕事が向いている人②:コミュニケーションが得意である

向いている人②:コミュニケーションが得意である

上述の通り、PMOの仕事においては調整業務も多くなります。よって、コミュニケーションが得意である、もしくはコミュニケーションをいとわない方も、PMOに向いているといえるでしょう。

調整によりプロジェクトを進められること

PMOに求められるコミュニケーション力とは、具体的には調整力です。PMOは営業などとは異なり、誰かに商品を購入してもらったりする仕事ではありません。

各ステークホルダーの意見を集約し、もし意見に齟齬があるのであれば、それぞれが納得できる落としどころを探すのがPMOの役割です。

例えば、プロジェクトにおいて成果物の品質が低く、改善が必要であるケースでは、何らか品質改善策が求められます。

当然、施策を実施するためには現場の工数が必要となります。プロジェクトのリソースがひっ迫している場合、安易に改善策を受け入れてもらえるとは限りません。

このような場合には、どのような品質改善策であれば現場に受け入れられるのか、必要な工数を削減することはできないのか、もしくは工数がかかったとしてもこの施策は現場に受け入れてもらわなければならないのかなど、条件を考慮しつつ、現場の説得を含めた調整を行う必要があります。

このように、PMOにおいては理想と現実を念頭に置きながら、プロジェクトを取り巻くメンバーの意見を踏まえて、メンバーに受け入れられるように調整を行っていく必要があります。このような調整を行える人が、PMOに向いているといえるでしょう。

資料を作成して伝える能力があること

もう一点、PMOに必要なのが資料を通して伝えるスキルです。

一般的に、経営層への進捗報告資料やプロジェクトのステークホルダーへの説明資料などの作成はPMOが担うことになります。よって、PMOには資料作成能力が求められます。

伝わる資料を作るためのコツは、「相手の理解度と役割を意識する」ことです。

例えば、一般的に経営層はITに疎い傾向がありますが、そのような経営向けの資料であれば、難しいIT用語を使って細かい説明をしてはいけません。

経営層は大きな決定をするのが役割ですから、プロジェクトにおいて経営にインパクトを与える要素をシンプルにまとめ、報告することが必要です。

プロジェクトのやり方に柔軟に対応できること

また、資料を作成する際は、プロジェクトのやり方に合わせることも重要です。

通常、プロジェクトにはその現場ごとの仕事の進め方があり、資料内容を作りこむ場合も同じになります。

たとえば、プロジェクトマネージャーへの報告用資料にはテンプレートが用意されており、それを使って報告内容を作っていくことがルールとなっている場合もあります。

この場合、PMOが新しい方法を導入してしまうと、プロジェクトマネージャーにとっては内容を把握しづらいものになり、現場のメンバーに余計な業務負荷がかかってしまうことも考えられます。

もちろん、現行の方法だとプロジェクトの推進に支障をきたす場合などは、関係者に相談の上でその内容を変更しますが、基本的には組織が採用している方法でドキュメントを作成することが求められます。

PMOの仕事が向いている人③:スキル向上意識が高い

向いている人③:スキル向上意識が高い

PMOにはエキスパートとして専門的なスキルが求められます。よって、スキル向上意識が高い人もPMOに向いているといえるでしょう。

知識や資格の取得に抵抗感がないこと

PMOには、端的に言えば、学習することをいとわない性格が必要です。当然ながら、PMOとして仕事をするのであれば、プロジェクト管理に関するスキルが必要です。

それだけではなく、コンサルティングファームなどでPMO業務を実施する場合、クライアントの業界特性や慣習、法制度などについても知見が必要となります。

よって、プロジェクトごとに新しい知識を学ばなければなりません。PMOに限らず、コンサルタントとして仕事をするのであれば、学習することが好きであることは必須条件かもしれません。

また、PMOとしての仕事をするのであれば、PMPやIPAのプロジェクトマネージャ試験などの取得も目指していく必要があります。

業務時間外にも勉強をする時間を確保して、これらの試験の取得を目指していかなければなりません。体力的にきつい場面もあります。

このように、学ぶことが好きな方がPMOに向いているといえます。

エキスパートとして能力を高められること

さらに、自身の専門性についてこだわり抜いて高めていけるというマインドも重要です。上述の通りPMOは専門職ですから、プロジェクト管理の専門家としてエキスパートを目指す必要があります。

一定のスキルを獲得した時点で成長がストップしてしまったり、最新の動向に追従できなかったりすると、PMOとして活躍することは難しいでしょう。

一般的には、年齢を重ねるごとにスキル習得へのモチベーションは下がっていくといわれています。

一方で、第一線で活躍するPMOコンサルタントであれば、年齢に関わらずスキル向上の意識を持っていることも事実です。よって、PMOに向いているのはスキルを高め続けられるマインドセットの持ち主といえるでしょう。

今後の必要性や将来性

今後の必要性や将来性
PMOの仕事内容は多種多様でプロジェクトによって求められる役割は異なるため、PMOとして活躍していくことは簡単なことではありません。しかし、その分将来性は高い職種になります。

プロジェクトマネジメントの役割はどんな場所でも求められる

PMOの役割を担うことができれば、どんな仕事に就いたとしても需要が高い人材になります。企業であれば、自社の目的を達成するため何らかのプロジェクトを推進しています。新規事業計画、ITシステムの開発や導入、社内の業務内容改善など種類は様々です。業界や規模は関係なく、全ての企業でビジネス要件に合わせたプロジェクトが導入されます。マネジメントはどんな会社でも必要な役割であり、PMOはニーズの高い職種と言えます。

IT関連の需要は今後さらに高くなる

PMOの役割をこなせる人の中でも、特にIT関連のプロジェクト経験があればさらに引く手あまたの人材になります。例えば、以下の理由によりITプロジェクトは多くの企業で導入されています。

  1. IT人材の不足
  2. 「2025年の崖」と呼ばれるリスク
  3. SAPの2027年問題

経済産業省のレポートによると、2030年には最大で79万人のIT人材が不足すると試算されています。

企業が市場価値を高めていく上でIT技術は必須のものと言えます。

以前とは違いクラウドサービスやSaaSなど安価なソリューションが数多くリリースされていることから、IT技術はスタートアップなど小規模な企業でも容易に導入することができる時代になりました。

そのため、IT技術を駆使して大手にはない付加価値を出そうと試みる企業も多く、IT関連のプロジェクトの企画が活発になっています。

また、デジタル技術導入の遅れも問題視されており、経済産業省は「2025年の崖」という言葉で警鐘を鳴らしています。

AI、IoT、ブロックチェーン、VRなど、最新技術の導入が難しいレガシーシステムを未だに使っている企業は多く、DXを推進していく上で大きなデメリットになると言われています。

結果、経済産業省は2025年以降、年間最大で12兆円の経済損失が発生することを見込んでいます。そのことから、多くの企業でシステム刷新のプロジェクトが進められています。

さらに、ERPシステムとして最も需要が高いSAPのサポート期限も迫っています。SAP ERP 6.0の標準保守期限は2027年に終了となることが発表されています。

ERPは企業の根幹となるシステムであるため、SAPを導入している企業にとっては大きな問題となります。

新しいSAP製品への移行、全く別のERPシステムへの刷新、フルスクラッチのシステム開発などそれぞれの事情に合わせたプランが推進されています。

まとめ

まとめ

この記事では、PMOの業務特性を踏まえて、どのような方がPMOに向いているかについて紹介しました。PMOはプロジェクト管理の専門家である一方で、現場からは少し離れて仕事をすることになります。

PMOの仕事をする中で聞かれる不満は、事務仕事の多さや現場から離れることによる実感の得られなさに起因するものが多い傾向にあります。

後悔しないキャリアを歩むためにも、自身のマインドを踏まえて、どの様な役割で仕事をしたいかを考えたうえで、PMOとしてのキャリアを歩むかどうかを検討してみることをおすすめします。PMOは将来性豊かで今後の可能性を広げやすい職種です。