PMOの年収は高い?給料を上げるうえで有効なスキルや資格、他IT職種と比較

公開日:2023.01.11(水) 更新日:

PMOコンサルタントの平均年収をIT職種と比較解説

PMOの年収は高い?他のIT職種と比較解説

PMOがプロジェクトマネジメント関連の業務を担う組織であることは世間に広く知られています。

では、PMOで仕事をしているコンサルタントの年収はどのくらいであるかはご存じでしょうか?もちろん、年収に関して正確な数字を出すことは難しくなります。

企業、案件、人材の経験やスキル、などによって違いますし、フリーランスと会社員でも異なります。

ただ、その実績からおおむねの年収は調べることは可能です。

将来はPMOコンサルタントとして働きたいと考えている方、すでに転職しようとしている方であれば、その年収は気になるところでしょう。

この記事ではPMOの年収に関して取り上げます。

PMOコンサルタントの年収

PMOコンサルタントの年収

結論から言うと、PMOの年収は日本人の平均的な給与と比べるとかなり高い水準になっています。

そして、PMOコンサルタントの需要は将来的にも高くなっていくことが予想されるため、それに合わせてその年収は上がっていく可能性が高くなります。

その理由の一つとして挙げられるのが、IT人材の不足です。

IT人材は2022年時点ですでに32万人以上不足しており、2030年での不足数は約45万人と試算されています。

PMOコンサルタントはITプロジェクトでも活躍できる人材であるため、今後もそのニーズは大きくなっていくことが予想され、その需要に比例する形でPMO人材の年収も高くなっていくと考えられます。

参考:経済産業省が2022年9月29日に開催した「デジタル人材育成推進協議会」の資料

正社員の場合、平均年収はどのくらいになるのか?

正社員のPMOの平均年収は約776万円と、日本の平均年収と比べてかなり高い水準にあります。

厚生労働省が発表している日本の平均給与(実質)の推移を見ると、近年は400万円台で推移しています。つまり、PMOの平均年収は日本の平均年収の約2倍近くになるということです。

これは、PMOの仕事が高度な専門性を要求されるためと考えられます。

PMOは単なる事務作業ではなく、プロジェクトマネジメントに関する深い知識と経験が必要とされる職種です。

また、プロジェクトの成功にはPMOの力量が大きく影響するため、企業はその価値に見合った報酬を用意しているのでしょう。

このように、正社員のPMOの平均年収は非常に高い水準にありますが、それは仕事の難易度や責任の大きさに見合ったものと言えます。

PMOを目指す方は、高い年収を得られる可能性がある一方で、それに見合ったスキルと覚悟が必要であることを理解しておく必要があるでしょう。

参考:厚生労働省発表の「平均給与(実質)の推移」に関して

フリーランスの場合は?案件の単価はどのくらいになるのか?

現在はフリーランスでPMOコンサルタントとして仕事をしていくことも可能です。

フリーランス向けのPMO案件を斡旋するサイトは数多くあります。

月額単価も高く100万円以上のなっているものも珍しくはありません。そのため、年収で言えば1000万円以上の高い年収が期待できます。

また、依頼を出す企業、プロジェクトの種類、案件の数、は非常に豊富で、PMO業務をこなしていけるだけのスキルと経験があれば仕事に困ることは無いでしょう。

システムエンジニアとの年収の比較

近年、多くの業界でIT関連のプロジェクトが企画されています。

IT案件は非常に多く、システムエンジニアも需要が高い人材となっています。

PMOはプロジェクトマネジメントの業務、システムエンジニアはシステムの要件定義や設計を担う職種であるため、仕事内容は異なります。

しかし、どちらもITプロジェクトで働く職種であり、業務領域は重複している部分もあります。

では、年収を比較するとどうでしょうか?大手の求人情報検索エンジンであるIndeedによると、日本のシステムエンジニアの平均年収は455万円(2023年4月時点)となっています。

前述の通りPMOの平均年収は776万円(2023年4月時点)となっているため、システムエンジニアと比較しても高い年収を得ることができます。

  • PMO: 776万円
  • SE: 455万円

参考:PMOの平均給与
参考:システムエンジニアの平均給与

システムエンジニアからPMOへの転身

システムエンジニアからPMOへの転身

年収アップを狙い、システムエンジニアからPMOになる方は少なくありません。

PMOはプロジェクトマネジメントの業務を担当し、システムエンジニアはシステム開発の業務を担当するため、両者の業務内容は異なります。

しかし、ITプロジェクトにおいては、両者の業務領域は重複する部分もあります。

システムエンジニアとしての経験は、PMOになる上で役立つ点が多くあります。

PMOになる上で役立つ経験

システム開発の知識

システムエンジニアは、システム開発のライフサイクル全体を理解しています。

この知識は、プロジェクトマネジメントにおいても非常に重要です。

システム開発の各フェーズで何が行われ、どのような課題が発生しうるのかを理解していることは、PMOとして的確なマネジメントを行う上で大きな強みとなります。

技術的背景の理解

システムエンジニアは、IT技術に関する深い理解を持っています。

PMOとして、技術的な議論を理解し、適切な意思決定を行うためには、この技術的背景の理解が不可欠です。

関係者との調整経験

システムエンジニアは、開発チーム内の様々な関係者と調整を行う経験を持っています。

この経験は、PMOが行うステークホルダー管理においても活かすことができます。

ただし、システムエンジニアからPMOへの転身には、いくつかの課題もあります。

PMO転身への課題

マネジメントスキルの習得

システムエンジニアは技術的な業務が中心であるため、マネジメントの経験が少ない場合があります。

PMOになるためには、プロジェクトマネジメント全般のスキルを習得する必要があります。

視点の転換

システムエンジニアは、技術的な詳細に注目しがちです。

PMOは、より全体的・戦略的な視点でプロジェクトを捉える必要があります。この視点の転換が求められます。

これらの課題は、研修の受講や実務経験を通じて徐々に克服していくことができます。

システムエンジニアとしての経験を活かしつつ、プロジェクトマネジメントのスキルを習得することで、優秀なPMOになることが可能です。

キャリアチェンジを考えるシステムエンジニアの方は、自身の強みを活かせるPMOへのキャリアパスも、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

PMOとして年収アップのために必要なスキルと経験

PMOとして年収アップのために必要なスキルと経験

ではPMOコンサルタントとして年収を上げていくためにはどうすれば良いのでしょうか?

一般的には、仕事の幅を増やしていくことで年収を上げていくことができます。

プロジェクトで経験を積みながらスキルを磨いていくと良いでしょう。採用される案件が多くなれば、高単価な案件に参画できる可能性が高まります。

会社員でもフリーランスでも、様々なプロジェクトで活躍できる人材になることで、給与も賞与も上げていくことができます。

給料を上げるうえで有効なスキル

PMOは、経営戦略、システム開発、業務改善、など様々なジャンルの案件で仕事ができます。

そのため、習得すべきスキルや知識は挙げるとキリがありませんが、普段から少しずつでも身につけていき、活躍の場を増やしていくことが重要です。

PMOに求められる基本スキルは、机の上で学習するというよりは、他人とのやり取り中で磨かれていくものが多くなります。

この仕事に向いている人は、人と接することに抵抗が無い場合がほとんどです。

PMOとして市場価値を高めていく上で有効なスキルを具体的に挙げると以下となります。

①プロジェクトマネジメントスキル

プロジェクトマネジメント関連のスキルは必須のモノとなります。

PMOのメインの役割はマネジメントであり、プロジェクトのスケジュールや進捗、発生した課題、成果物の品質、想定されるリスク、など様々な要素を管理していくことになります。

PMBOKなどを利用してプロジェクトマネジメントを体系的に学ぶことも大切ですが、実務で経験しながら学んでいくことで、より実用的なスキルを身につけることができます。

②コミュニケーションスキル

PMOの主な業務はマネジメントですが、その役割を担っていくにはコミュニケーションスキルが重要になります。

そのため、プロジェクトマネジメントスキルと同じくらい重要視されるものになります。

基本的にどのような案件でも様々な部署やパートナー企業の方と協力しながらプロジェクトを推進していくことになるため、コミュニケーション能力が高いことは重要です。

たとえ考え方が全く異なる方と働くことになっても、話の意図をしっかりと理解し認識齟齬が起こらないように仕事を進めていく必要があります。

プロジェクトによっては、海外の企業と仕事をする場合もあります。

その場合、もちろん語学力も必要ですが、気配りなども重要です。要するにどんな人とでも効率的に業務を行うことがポイントであり、そのためのコミュニケーションが求められます。

③論理的思考能力

PMOとしての業務は論理的に考えていかないとなかなかうまく対応できないものがあります。

プロジェクトルールの標準化、プロジェクトでの課題の解決、経営層への状況説明のための資料作成など、ロジカルに対応しないとうまく目的を達成していけない場合が多いです。

例えば、PMOの基本的な業務の一つとして、プロジェクトのルールを決め、各チームにそれにしたがって仕事を進めてもらうというものがあります。

この場合、各チームに不慣れなやり方で仕事を進めてもらう必要も出てきます。

その際は、ロジカルにその理由などが説明ができないと相手に納得がしてもらえず、ルールを守ってもらえないということも発生してしまいます。

たとえ一部のチームでもルールを遵守してもらえない事態になってしまうと、プロジェクトの生産性は下がってしまうでしょう。

プロジェクトを成功させるためにも、PMOは仕事を進めていく上で論理的にもの事を考え進めていく必要があります。

PMOとしてプロジェクトに参画する上で求められる経験

PMOとしての仕事で年収を上げていきたいのであれば、適切な経験を積んでいくことが重要になります。

PMOコンサルタントは通常、案件に参画する際にクライアント企業の面接などを経てそのメンバーとして採用されることになります。

特に過去の経験で合否判断が下されることが多く、管理職の経歴やマネジメント業務の経験など、プロジェクトマネジメントの類似経験があると即戦力として評価され選考過程で有利になります。

PMOとしてのキャリアを気づいていくのであれば、日々の業務でPMOのメイン業務に関連する仕事やポジションに積極的に立候補し挑戦していくことが推奨されます。

①近年はIT関連の案件が多い

ITのプロジェクトは特に多く、システム開発や導入の案件で経験を積んでおくことは非常におすすめです。

業界問わず多種多様な企業でIT関連のプロジェクトが企画され推進されており、前述した通りIT人材の不足が課題となるほどです。

IT案件は今後も増えていくことが予想されるため、そのような案件で仕事ができる人材であれば仕事に困ることは無くなります。

IT関連のプロジェクトでは、PMOはIT化の要件、タスク、課題などを管理することが求められます。

IT化推進のポイントを経験が伴う形で理解しておくことが重要です。

システムエンジニアやプログラマーが使う専門用語を理解できることはもちろん、それをITの知識があまりない業務担当者などにもわかりやすく伝えられるスキルが求められます。

②DX関連の案件が今後特に増えていくことが予想される

今後はIT関連の案件の中でもDX推進のプロジェクトが特に増えていくことが予想されます。

DXの理解はもちろんその経験を積んでおくことで、PMOとしての案件獲得や年収アップに繋がります。

経済産業省もビジネスにおいてDXを積極的に導入していくことを推奨しており、経営者向けのDX関連のガイドライン(デジタルガバナンス・コード2.0)を作成し公式サイトで公開しています。

DX案件は企業のITプロジェクトの中でも特に増加していくことが予想されます。

参考:経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」に関して

③IT以外にも様々なプロジェクトがある

近年は前述の通りITプロジェクトが数多く企画されていますが、PMOコンサルタントはプロジェクトマネジメントのエキスパートであるため、IT関連の案件以外でも活躍していくことが可能です。

経営戦略立案、新規事業開発、社内の業務プロセス改善、など、企業では様々な種類のプロジェクトが企画されており、そのマネジメントができる人材を必要としています。

どれも企業が存続していく上で必要不可欠なモノばかりです。

PMO人材としての存在価値を高めていくためには、多種多様なプロジェクトでの管理業務経験を積んでいくことが推奨されます。

おすすめの資格とは?

おすすめの資格とは

PMOとして様々な案件で仕事をしていきたいのであれば、普段から資格試験などを活用し知識を深めていくことも有効です。

おすすめの資格試験は以下が挙げられます。

日本PMO協会認定資格

プロジェクトマネジメントを体系的に学ぶことができます。

学びやすく取得しやすいということがこの資格のメリットとして挙げられます。

書籍だけでなくeラーニングで学ぶ方法も用意されており、パソコンでもスマホでも受講が可能です。

そして、受講者に合わせて資格のレベルを選択できます。

プロジェクトマネジメント入門者向けの「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」や経験者向けの「PMOスペシャリスト認定資格」などが用意されています。

PMI🄬試験

PMI試験は非常に難易度の高い資格になっています。

認定を受けるためには、いくつか要件があります。

まず、プロジェクトマネジメントの業務経験が求められます。

求められる業務経験の期間は人によって異なりますが、大卒であれば、直近8年の間に3年以上かつ4500時間以上のプロジェクトマネジメント経験があることが受験資格となります。

また、所定のプロジェクトマネジメント研修を35時間以上受講する必要もあります。そして最後に、ペーパー試験にも合格することで認定されるものになります。

さらに、資格試験は合格後も永久に保持できるものではなく3年ごとに更新を行う必要があります。そのため、合格することはもちろん維持していくことも難しい資格になっています。

プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャー試験は、IT寄りのプロジェクトマネジメントを学ぶことができる資格を担っています。

この資格は独立行政法人である情報処理推進機構が提供しています。

情報処理推進機構はIT人材の育成などの取り組みを行っており、このプロジェクトマネージャー試験以外にも、ITパスポート、基本情報技術者、情報セキュリティマネジメントなど様々なIT関連の資格試験を提供しています。

P2M資格試験

P2M資格試験は、プロジェクトマネジメントの学習や実践力を保有していることを証明するために利用できる資格です。

日本プロジェクトマネジメント協会が提供しています。試験は以下の5つが用意されており、それぞれ受験資格や出題範囲が異なります。

  • プロジェクトマネジメント・コーディネーター(PMC)資格試験
  • PMSプログラム試験
  • プロジェクトマネジメント・スペシャリスト(PMS)資格試験
  • プログラムマネジャー・レジスタード(PMR)資格試験
  • プログラムマネジメント・アーキテクト(PMA)資格試験

試験によっては、講習の受講、特定資格の取得、実務経験などが受験資格として求められます。そのため、受験する際にその最新情報を確認する必要があります。

まとめ

まとめ

今回はPMOの年収に関する話題を取り上げました。

PMOの年収は日本の平均給与よりかなり高水準で、将来的にもPMOの需要は高まると予想されるため、年収アップが期待できます。

PMOコンサルタントとして年収を上げるには、プロジェクトマネジメントスキル、コミュニケーションスキル、論理的思考力を磨き、IT関連やDX推進などの案件で経験を積むことが重要です。

また、日本PMO協会認定資格やPMI試験、プロジェクトマネージャー試験など、関連資格の取得も有効でしょう。

PMOを目指す方や年収アップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。