PMOの求人募集状況は?求められるスキル・経験や年収などについて徹底解説

公開日:2022.04.07(木) 更新日:

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の求人について解説

PMOの求人募集状況は?求められるスキル・経験や年収などについて徹底解説

DX化の推進やIT人材の不足など、様々な背景からPMO人材は不足傾向にあります。そのような中で、PMO人材の求人についても活発化している状況です。

PMO人材として求人に応募するためには、どのようなスキルや資格が必要なのでしょうか。

また、PMO求人は非公開であるケースも多いのですが、年収や活躍の場はどのようなところにあるのでしょうか。この記事で解説を行います。

PMO求人案件の状況

PMO求人案件の状況

まず、PMO支援業務の概要やPMO人材の求人募集状況・求人概要について紹介します。

PMO支援業務の概要

PMOとは「Project Management Office」の略称です。PMOはPMを支援する立場で、システム開発プロジェクトの円滑な推進やプロジェクト管理品質の向上などを担います。

ユーザー企業など、ITを本業の事業としていない企業においては、IT人材が不足しがちです。

そのような企業においては、特に大規模システム開発プロジェクトなど一時的に多くのリソースが必要となる場面において、PMO人材をはじめとするIT人材を外部委託により確保したいというニーズが存在します。

このようなニーズに対応するため、ITコンサルティングファームをはじめとする各企業は、PMO支援要員を求人し、自社に所属する人材を提供します。

企業でのPMO人材不足と求人増加傾向

近年では、DX推進の潮流やIT人材の不足といった背景によりPMO人材の不足が生じています。このような背景から、PMO求人は増加傾向にあるといえます。

特に、ユーザー企業でのIT人材不足は深刻です。多くのユーザー企業では、これまでITシステムの開発をベンダー等に外部委託してきました。

よって、企業内には最低限のIT人材しか存在しておらず、昨今のデジタル化対応等を実施するためのIT人材が足りません。

PM、PMOスキルを持った人材も、同様にユーザー企業には不足しています。

一方で、ITやシステム開発に関するスキルを持った人材を育てるのは一朝一夕には難しく、また求人を出し中途採用するにも限界があります。

よって、求人ではなくプロジェクト推進のためにPMOスキルを持った人材を外部委託により補強したり、定常的な組織として「PMO室」のようなポジションで外部リソースを活用したりということが行われています。

PMO求人の年収・やりがい

PMO求人の年収・やりがい

PMO求人の年収

PMO求人の年収はどの程度なのでしょうか。

PMOに限定した調査がなく求人も非公開となっている例が多いため、正確な金額は不明ではありますが、正社員として勤務するPMO求人では平均で600万円から700万円程度が主な求人相場といえます。

当然ながら、自身のランクや勤務する企業が大手かどうか、また求人の雇用形態によって待遇は大きく異なります。

また、ITコンサルタント全体でみると、厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査※」が参考となります。

令和2年度の調査では、「システムコンサルタント」の平均給与は、約690万となっています。(平均年齢39.4歳、月給約44万、賞与約162万程度)

※令和2年賃金構造基本統計調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

PMOの活躍の場とやりがい

PMO人材が活躍する場はどこにあるのでしょうか。大きくは、「ユーザー企業」「ベンダー企業」に分かれます。

ユーザー企業では、ITシステムの発注側の立場として自社のシステム開発プロジェクトの円滑な推進や補佐、自社全体のシステム投資のコントロール役などの役割を担います。

一方で、ベンダー企業ではITシステム開発の受注者側の立場で、自社のシステム開発案件の全体的な品質向上を目指すことになります。

ユーザー企業、ベンダー企業いずれの場合においても、PMOの一番のやりがいはプロジェクトマネージャーやプロジェクトオーナーから感謝されるところにあるのではないでしょうか。

プロジェクトマネージャーやプロジェクトオーナーは、プロジェクト推進のために多くの判断をしなければなりません。

その際に、PMOは助言や資料作成を行うことで判断材料を提供することができます。PMOが適切な支援や補佐を行うことで、感謝される場面は多いのではないでしょうか。

必要なスキル・適正

必要なスキル・適正

それでは、PMO人材として求人に応募するためには、どのようなスキルや適性が必要なのでしょうか。以下で解説を行います。

プロジェクトマネジメントスキル

当然ながら、プロジェクトマネジメントに関する知見はPMOを実施するうえで必須となります。

具体的には、PMBOK(Project Management Body of Knowledge:プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系的にまとめたもの)などのプロジェクトマネジメントに関する体系的な知識を身につけておくことが望ましいでしょう。

プロジェクト立ち上げから計画、実行、管理、収束といった一連のプロセスに加え、各フェーズで実施する進捗管理、課題管理、リスク管理、コミュニケーション管理などの管理手法に精通していることがPMO人材として活躍するためには必要です。

資料作成スキル

PMOは多くの場面で資料を作成します。

例えば、プロジェクトマネージャーやプロジェクトオーナーなどにプロジェクトの全体進捗や主要課題を報告したり、より上位の経営層への定期的な報告などを実施したりします。

このように、様々な場面で的確な報告が必要であるPMOには、わかりやすく、簡潔な資料作成能力が求められます。

特に、プロジェクト状況については報告が非常に難しいものです。

多少の遅れが発生しているが全体としては問題ないのか、もしくは小さいように見える問題だけれどもプロジェクトの進捗に深刻な影響を与えるものなのか、その温度感も含めて適切にマネジメントレベルにインプットをする必要があります。

コミュニケーションスキル

PMOは、プロジェクトのコアメンバーとして他のプロジェクトメンバーと頻繁にコミュニケーションをとる必要があります。

進捗報告資料では表面的に浮かび上がってこない問題や、潜在化している課題などを早期に発見するためには、コミュニケーションスキルが必要です。

一般的に、人間は自分の失敗を知られたくないものです。プロジェクトの運営においては、悪い情報が上がりにくいという構造的な問題があります。

PMOはプロジェクトの円滑に進めるために、たとえ悪い情報であってもそれがプロジェクトに与える影響を考慮し、速やかに適切な対策を打っていく必要があります。

このように、悪い情報を収集するためにも周囲とうまくコミュニケーションする力が必要です。

PMOに役立つ主な資格

PMOに役立つ主な資格

PMO求人に応募し、PMO人材として活躍するために有効だと思われる主な資格は以下の通りです。

PMP

PMP(Project Management Professional)は、プロジェクトマネジメントの世界において最も有名な資格といえます。

PMPは米国のPMI本部が実施している資格試験であり、PMBOKに沿った内容が出題されます。

同試験ではプロジェクトの立ち上げから計画・実行・監視コントロール・終結の流れの上で重要なポイントを理解しているかが問われます。

PMPの特徴として、3年ごとに更新が必要である点が挙げられます。

PMP取得後も、PMIが認定した研修等のカリキュラムを受講し、合計で60PDU(1PDUは一般的に1時間の研修等に相当)を獲得しなければ、PMP資格を維持することはできません。

一度取得したら永年有効である資格が多い中、PMPはこのような厳格な要件を設定することで、資格取得者の質を担保しています。

IPA プロジェクトマネージャ試験

IPA(情報処理推進機構)では、情報処理技術者試験としてITシステムに関する様々な難易度・種別の試験を開催しています。

情報処理技術者試験の中でも、高度試験と呼ばれる最難関の区分の中の一つに、「プロジェクトマネージャ試験」と呼ばれるITプロジェクトマネジメントのスキルを問う試験があります。

PMPと同様に、IPAのプロジェクトマネージャ試験も価値の高い資格として知られています。

同試験では、自身の経験に沿って論文を書くような問題も出題されるため、座学だけではなくプロジェクトマネジメントに関する豊富な経験がないと突破することは難しい試験といえます。

合格者も15%程度と、難易度が高い試験です。

CAPM

CAPM(Certified Associate in Project Management)は、上述したPMPと同様に米国のPMI本部が主催する資格試験です。

PMPよりも難易度が低く、主に新人のプロジェクトマネージャーや大学生や大学院生を対象とした資格となります。

PMPと同様にPMBOKからの出題とはなりますが、プロセスや専門用語を把握しているのかが試験で問われるポイントです。

PMC、PMS、PMR

PMC、PMS、PMRは、日本プロジェクトマネジメントが主催する、プロジェクトマネジメントおよびプログラムマネジメント力を認定する資格試験です。それぞれ、以下のような違いがあります。

  • PMC(Project Management Coordinator):P2M※におけるプロジェクトマネジメントのコア知識を修得しているか
  • PMS(Project Management Specialist):プログラムマネジメントを含むP2M全般知識を修得しているか
  • PMR(Program Manager Registered):プログラム・プロジェクトマネジャーに必要なP2M実践力を保有しているか

※P2M:統合的なプログラムとプロジェクトマネジメントの標準体系のこと

PMC、PMSが知識体系の習得を問う試験であるのに対して、PMRはより実践的な能力を求めるものとなります。

年収アップにつながる経験

年収アップにつながる経験
PMOとして年収を上げていくにはどのような経験を持っていると有利と言えるのでしょうか?

PMO業務はマネジメントであるため、実務を通して学んでいくことが非常に重要かつ評価されやすいポイントになります。

システムエンジニアやプログラマーとして働いた経験

前述の通り、近年はDX関連のプロジェクトを計画・実行する企業が多く、システム開発関連の仕事を経験していると年収を上げていく上で有利になります。

もちろん、PMOとして仕事をする場合、システム開発系のプロジェクトにアサインされたとしてもプログラミングなどの仕事を担当することはまず無いため、その経験を直接仕事で活きることはありません。

しかし、マネジメントを行う上でその経験を活かすことができます。

たとえば、課題管理を行う場合、開発担当からその詳細な内容をしっかり確認する必要があります。

課題の内容によってはプログラミング経験が無いと理解が難しい場合もあるため、PMOとして成長していく上でシステム開発関連の仕事は経験しておくべき重要な要素になります。

コンサルティングファームでの勤務経験

コンサルタントとして勤務実績も評価されやすいポイントと言えます。

顧客との折衝、ベンダ管理、クライアントと同じ業界のプロジェクトでの勤務、などの経験は特に強みになります。

コンサルタントとしての経験の強みは何といってもシステム開発以外の案件でも即戦力として活躍できるという点です。

確かに、近年はシステム開発系のプロジェクトが特に多くはなっていますが、それ以外の案件ももちろん存在します。

企業で企画されるプロジェクトは、経営戦略立案、社内業務の改善、新規事業の推進、など様々です。

コンサルティングファームでの勤務経験があれば、プロジェクトマネジメントのエキスパートとしての評価を受けやすくなります。

また、採用時の必須要件として「コンサルティングファームでの勤務経験」が求められることも多くなっています。

年収アップだけでなく将来的に仕事の幅を広げていく上で、コンサルタントとしての勤務経験は大きなメリットになります。

管理職としての勤務経験

マネジメント業務はどんな会社でも経験することは可能であり、特に管理職としての業務経験があればPMOとしてのキャリアを歩んでいく上で大きな利点になります。

一般的な企業で管理職として働く場合、自分のチームの予算、部下の仕事の進捗、成果物の品質、など様々なものを管理することになります。

PMOとして働く上で必須となるマネジメント業務を経験することができるため、大きな強みになります。

PMOで質の高い求人案件の探し方

PMOで質の高い求人案件の探し方

PMOとして質の高い求人を探していくにはどうすればいいのでしょうか?将来どうなっていきたいのかはっきりさせることがポイントです。

どんなPMOに何をやりたいのかを明確にすることが重要

PMOとして働いていく上での手段はいくつか存在しますが、何よりもまずはPMOとしてどんな仕事をしたいのかを明確にすると良いでしょう。

プロジェクトはどんな業界でも実行されるため、理論上PMOはどの業界でも働けることになります。

新規事業推進、システム導入、業務プロセスの改善など、プロジェクトの種類も様々です。

そのため、PMOとして採用される上で必要とされる経験は企業によって異なります。全ての経験を積んでおくことは非現実的であるため、どんなプロジェクトで働いていきたいか明確にすることが必要です。

案件獲得の手段

PMOとして働くための手段はいくつかあります。

①コンサルティングファームに転職する

コンサルティングファームへの就職はPMOを目指す上で最も推奨されます。

会社が案件を数多く保有しているため、未経験でもPMOとしての経験を積んでいきやすくなります。

その他の案件もありますが、希望を出しておけばPMO案件にアサインされることは難しくありません。自身の目的に合わせて適切な経験を重ねることができます。

また、将来的な目標が明確になっている場合は、その専門のコンサルティングファームを選ぶことで、より理想的な経験を積んでいくことが可能です。

②社内プロジェクトに手を上げる

プロジェクトはどんな会社でも企画・推進されます。自社でプロジェクトが立ち上げられる際にそのメンバーとして手を挙げることも手段の一つです。

ただし、その機会自体が少ないため、PMOとしての経験を積んでいくことは難しくなります。

③フリーランスになって自分で探す

PMOは需要が高く、フリーのPMOコンサルタントの案件獲得を支援してくれるサービスもあります。

サイトに登録しておくことで、エージェントが適切な案件を紹介してくれる仕組みになっています。

PMOとしての経験がある程度無いと案件獲得は難しくなることや、希望がやや通りにくいことが欠点と言えます。

採用されるためのポイント

採用されるためのポイント

PMOの求人募集に応募し、採用されるためにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。以下で求人に採用されるポイントを解説します。

ITスキル・システム開発経験をアピールする

PMOの実施には専門的なスキルが必要となりますので、自身がシステムやプロジェクトマネジメントに関するスキルを保有していることをアピールすることは重要なポイントとなります。

また、自身がどのような経験を積んできたかについても求人における大切なアピールポイントです。

その際には、システム開発やプロジェクトマネジメントに関するどのような業務を行い、どのような価値を発揮できたかを明確に伝えるべきでしょう。

論理的思考能力・コミュニケーション能力を示す

人的リソースを提供することになるPMO求人募集においては、面接においてどのような印象を与えられるが採用可否を分けるポイントとなります。

提供できる価値を明らかにする

PMO求人に採用されるためには、何より自身がどのような価値を提供できるかを明らかにすることが必要です。

PMOの役割での求人に対して自身がどのような価値を提供できるのか、求人に対する自身の強みは何なのかをこれまでの経験や獲得したIT・システムスキルから明確化します。

例えば、小売業に関するシステム開発経験が豊富であったり、インフラに関するスキルを持っていたりと、人とは違う能力を持っていることは貴重な価値となります。

自身が持つ価値を認識したうえで、その価値に適合する求人に応募することで、求人への採用確率は大幅に上昇するでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、PMO人材向けの求人に応募するために必要なスキルや資格、PMO求人の年収や活躍の場などをメインに解説を行いました。

冒頭に述べた通り、PMO人材は不足傾向にあり、ITコンサルティング企業などでは積極的にPMOの求人募集を行っている状況にあります。

自身の価値や強みを理解したうえで、その価値や強みを生かせる求人を選んで応募することが採用に至る道標といえます。

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