ERP開発ベンダーの本音とは?パッケージ導入の裏話も公開中

公開日:2023.03.09(木) 更新日:

ERP開発ベンダーが本音を暴露!失敗しない製品選びとは?

ERP開発ベンダーの本音とは?パッケージ導入の裏話も公開中

ERPパッケージは業界を問わず多くの企業で需要がある仕組みです。

一昔前までは主に大企業だけが導入できるシステムでしたが、最近はクラウド技術も発達しスタートアップやベンチャーなど小規模な企業向けのERP製品もリリースされています。

DXが広く普及したため、デジタル技術の活用は企業が市場価値を高めていく上で必須なものです。ERPシステムは情報を管理し活用していく上で軸と言えます。

ERP製品を選定する際は、開発ベンダーからの情報をそのまま鵜呑みにすることなく、自社の要件に適した製品や手段を選んでいくことが重要になります。

ERPシステムには様々な製品がある

ERPシステムには様々な製品がある
ERPシステムは非常に需要が高く多くのパッケージベンダーが製品開発を行っています。

たとえば、SAPの「S/4 HANA」、Oracleの「NetSuite」、Microsoftの「Dynamics 365」などが有名で世界中の企業で導入されています。

その他にも製品の種類は様々で、特定の業界、業務、企業規模に特化したERPシステムも提供されています。昔と比べるとクラウドベース製品が多くなっています。

近年は既存の古いものから最新のERPシステムへの移行を積極的に行う企業が多く見られます。

DXやクラウドの活用が社会的に活発になってきており、その技術を利用した新しいビジネスモデルも生まれてきています。

数十年前から利用されているレガシーシステムは他システムとの連携が難しいなど企業が市場価値を高めていく上で問題点も多く、現代に適した新システム導入が盛んです。

政府もレガシーシステムを使い続ける日本企業が多いことを問題視しており、公式サイトで警鐘を鳴らしています。

企業がDXをうまく活用していくことができない場合、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があることが示されています(2025年の崖)。

ERPシステムは企業の情報を管理し活用するためのもので、DXを推進する上で有効です。

DXをうまく活用している企業の多くは、自社のERPシステムと外部サービスを連携させるといった仕組みを構築し、自社ビジネスに付加価値を生み出しています。

たとえば、外部からリアルタイムでデータを収集し自社のERPシステムに蓄積させ、その情報をもとに市場ニーズの調査、商品開発、サービスの改善などに繋げています。

ERPベンダーの売り文句に注意!?製品を選定する上でのポイント

ERPベンダーの売り文句に注意!?製品を選定する上でのポイント
ERPシステム導入のため製品やベンダーを選定する際は、ポイントを押さえおく必要があります。

ただERP製品を導入すれば企業の市場価値が高まるわけではありません。ERPベンダーからの情報は取捨選択しながら検討を進める必要があります。

ERPシステムの導入はメリットづくしではなくリスクもある

多くのベンダーは公式サイトや製品の説明会で以下の点をERPのメリットとして紹介します。

  • 業務の自動化による品質向上や人件費削減
  • 情報の一元管理による情報漏洩リスク減少や内部統制の強化
  • 経営判断の迅速化

基本的には全てのERP製品で上記のような効果を期待できます。

それに加え、各ERP製品には独自の強みを持っています。

たとえば、会計や販売など特定の業務領域に強みを持っている製品や、小規模企業向けに低価格でリリースされているものなどがあります。

自社の要件に適した製品であるかどうかしっかり調査し選定を進めていくことがポイントです。

一方で場合によってはERP製品を導入しても期待通りの効果が得られないことも事実です。

ERPベンダーからはあまり説明が無いこともあるため注意が必要です。たとえば、以下の点が懸念点として挙げられます。

  • 業務要件を達成するための機能が備わっていないこともある
  • 適切に導入するには業務、IT、ERP製品についての深い知見が必要
  • フルスクラッチのシステム開発より高くなる可能性もゼロではない

ERPは各業務の一般的なプロセスのベストプラクティスが実装されています。

そのためその企業特有のプロセスはサポートできない場合もあります。

その場合、独自の追加機能をERPシステム上に実装する、または特殊な部分だけ切り出してフルスクラッチでシステム開発する、などの手段が必要となってしまう場合もあります。

どちらの手段でも既存業務の詳細な分析やシステム開発の知識などそれぞれの分野での深い知識や経験が求められます。

基本的にはコンサルティングファームやSIerからの支援が必要になるため、想定よりも高いコストがかかってしまうこともあります。

このような問題点がプロジェクトを進める過程で表面化してしまい、結果的にプロジェクトが頓挫してしまった事例も少なくはありません。

製品への機能追加は期待通りには行われない

ERPパッケージのデメリットの一つとして「特殊な業務をサポートする機能は実装されていないことが多い」というものもあります。

ERPパッケージは特定の企業のためではなく、特定の業務や業界向けに開発されています。しかし、どんな企業でもその会社特有の業務は存在することがほとんどでしょう。

そのため、特殊な業務プロセスを構築している企業などは自社に合うERP製品が見つからず、フルスクラッチのシステムを選択する企業も存在します。

一部のERPベンダの営業担当はこのデメリットに触れる際、クライアントがミスリードを起こすような説明をすることがあるので注意が必要です。

「ERPパッケージ製品は継続的にバージョンアップされるため、将来的には特殊な業務を支援する機能も実装される」という趣旨の説明を行うベンダもあります。

確かにERPパッケージに新機能が追加され続けていくことは事実なのですが、都合よくほしい機能がたまたま次のバージョンアップ時に実装されることは基本的には期待しない方がいいでしょう。

営業担当者が将来実装予定の機能を説明してくる際は、具体的にいつ実装されるのか確認することが重要になります。

他社製品との比較や情報提供を行ってくれるわけではない

ERPを導入する場合、自社における既存の業務プロセスの分析や製品の比較が重要です。

業務を課題からERPシステムに求める要件を検討した上で各社の製品を比較し、最終的に導入するものを決定します。

この対応は深い業務知識が無いと難しいため、一般的には外部企業からの支援を受ける形で進めていくことが多くなります。

ERP開発ベンダーからの支援を受け導入するシステムを検討していくこともできますが、結論から言うとあまり好ましくはありません。

ERP開発ベンダーでもクライアントの業務プロセスの分析やアドバイスは行ってくれますが、基本的にはそのベンダーが提供する製品を導入することを前提とした提案になります。

他社のERP製品に関して深い知見があるわけではありませんし、自社製品を導入してもらった方がベンダーにとっては利益になります。

最適なERPを導入するには製品を比較した上で選定する必要があり、より多くのERP開発ベンダーから情報を集めることが推奨されます。

ERP選定には、コンサルティングファームからの支援を受け、様々な手段を比較しながら自社に適したものを決定していくことが望ましくなります。

クライアント業務を詳細に分析した上で最適なソリューションを提案してくれます。

ERPベンダーは自社製品にフォーカスした提案を行いますが、コンサルティングファームは様々なERPを比較しての提案はもちろんそれ以外の手段も調査を行ってくれます。

ERPは多くの企業にとってメリットがありますが、必ずしも最適なソリューションとは限りません。考えうる選択肢を机上に並べた上での選定がポイントになります。

まとめ

ERPパッケージは企業がビジネスを推進していく上での軸となるシステムです。

導入した結果自社に適さないものだと判明しても簡単に入れ替えができるものでは無いため注意が必要です。

今回の記事の中で取り上げた通りERPベンダーからの情報をそのまま参考した場合、期待通りの結果が得られないこともあります。

要件を満たすことができるかどうかしっかり確認し導入を進める必要があります。