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公開日:2023.04.19(水) 更新日:
転職前に知っておきたいPMOコンサルタントのキャリプランを解説
現代のビジネス環境において、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)は企業にとって欠かせない存在です。
PMOは、プロジェクトの成功を支える中核的な役割を担い、組織の目標達成や業務効率化を推進します。
プロジェクトが企画されない企業はほぼ存在しないため、PMOの需要は高く、キャリアプランとしても非常に魅力的な選択肢となっています。
転職市場を見ても、PMO案件は多岐にわたり、IT業界から製造業、サービス業まで幅広い分野で求められています。
では、PMOコンサルタントとして活躍するためにはどのようなキャリアプランを構築すべきでしょうか?
本記事では、PMOの主な案件内容、求められるスキルや経験、そして将来性のあるキャリアプランについて詳しく解説します。
PMOを目指す方や、キャリアプランの見直しを検討している方はぜひ参考にしてください。
PMOにはどんな案件が多い?

PMOコンサルタントとしてキャリアプランを考える際、まず理解すべきはPMOが関わるプロジェクトの種類です。
プロジェクトの内容によって求められるスキルや経験が異なるため、どのような案件が多いかを把握することで、キャリアプランの方向性を見極めることができます。
以下では、PMOがよく携わる代表的な案件を紹介します。
システム開発・導入
PMO案件の中でも特に多いのが、システム開発や導入に関連するプロジェクトです。
業務システムの新規開発、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入、またはオンプレミス環境からクラウドへのインフラ移行など、IT関連のプロジェクトは多岐にわたります。
これらのプロジェクトは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や法改正への対応、業務効率化のニーズに応えるため、継続的に発生しています。
そのため、PMOとしての活躍の場は非常に広く、ITスキルを持つ人材にとって魅力的なキャリアプランと言えるでしょう。
PMOの役割としては、プロジェクトの要件定義から設計、開発、テスト、運用までの一連の工程を管理することが主です。
実際にプログラミングやテスト実施などを担当することは基本的になく、マネジメントや情報収集などが主な仕事になります。
具体的には、以下のような業務が求められます。
| 要件の洗い出し | クライアントや関係者との対話を通じて、システムに必要な機能や仕様を明確化。 |
|---|---|
| 進捗管理 | タスクのスケジュールやリソースの割り当てを管理し、遅延を防ぐ。 |
| 課題・リスクの検知と解決 | プロジェクト進行中に発生する問題を早期に発見し、解決策を提案。 |
| 関係者間の調整 | 開発チーム、ベンダー、クライアントなど多様なステークホルダーとのコミュニケーションを円滑化。 |
PMOは直接プログラミングやテストを行うことは少なく、プロジェクト全体の生産性を高めるためのマネジメントが中心です。
たとえば、システム開発プロジェクトでは、開発者が技術的な作業に集中できるよう、PMOがスケジュール調整や情報共有を担います。
このような役割を通じて、PMOはプロジェクトの成功に不可欠な存在となり、キャリアプランとしても将来性が高い職種と言えます。
社内業務改善
社内業務改善プロジェクトも、PMOが頻繁に携わる案件の一つです。
企業は競争力を維持するため、人件費削減、製品・サービスの品質向上、社員の働き方改革などを目的に、業務プロセスの見直しやシステム導入を進めます。
このようなプロジェクトでは、PMOは現状分析から改善策の立案、実行までをサポートします。
具体的な業務内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 業務プロセスの可視化
フローチャートや業務マップを作成し、現在の業務の流れを整理。 - 改善ポイントの特定
非効率なプロセスやボトルネックを洗い出し、改善案を提案。 - 新プロセスの設計
効率的で持続可能な業務フローを構築し、実行計画を策定。
業務改善プロジェクトでは、経営層、現場担当者、外部ベンダーなど、さまざまな関係者と連携する必要があります。
PMOはこうした意見の衝突を調整し、プロジェクトの目的を達成するための道筋を明確にする役割を果たします。
このような調整力は、PMOとしてのキャリアプランを構築する上で重要なスキルとなるでしょう。
IT戦略の策定
PMOコンサルタントは経営関連のプロジェクトでも活躍していくことが可能です。
よくある案件としては、ITグランドデザインを作成するプロジェクトで、クライアント企業が将来どのようなIT戦略を展開していくかまとめていくものになります。
会社のビジョン、成長戦略を念頭におき、業界のニーズや最新テクノロジーの動向を理解した上で、たとえば以下のような仕事を担当することになります。
- システム全体構想の策定
企業の目標達成に必要なITシステムの全体像を設計。 - 優先順位の設定
予算やリソースを考慮し、どのシステムから導入するかを決定。 - 実行計画の作成
中長期的な視点で、実現可能なスケジュールとリソース配分を計画。
まずはクライアント企業の目的を達成していく上で必要になるシステムの全体構想をまとめていきます。
その上で、基本的には実現に期間を要するプロジェクトになるため、優先順位を付けていく必要があります。
社内関係者は多くそれぞれが自分の業務に関連する対応を優先したがる傾向にあるため、意見をまとめていくことが難しい場合もあります。
PMOは中立な立場で会社の目的を達成するために何を優先すべきか考え、各部署と交渉していく必要があり、そして、実現に向けて計画を立てていくことになります。
一度に全てのシステムを実装していくことはプロジェクト失敗のリスクが高くなり現実的ではないことがほとんどです。
予算やヒューマンリソースを考慮しプロジェクトのフィージビリティを確保できる計画を立てることが求められます。
PMOへのキャリアプランを立てるには?有効な経験・スキルについて

転職の際、特定の経験やスキルがあればPMOとして採用されやすくなります。
普段の仕事の中でチャンスがあれば積極的に手を挙げてキャリアパスに繋げられるようにしましょう。
IT業界の経歴
IT業界での経験は、PMOとしてのキャリアプランを大きく後押しします。
システムエンジニア(SE)やITコンサルタントとしてシステム開発に携わった経験があれば、PMO案件への参画がスムーズです。
プログラミングスキルなどはPMO業務に直接は関係しませんが、システム開発を経験していること自体が評価されます。
たとえば、大規模なERP導入プロジェクトでは、システムの仕様や技術的な制約を理解しているPMOが重宝されます。
IT業界出身者は、開発者やベンダーとのコミュニケーションが円滑で、技術的な議論にも対応できるため、採用時に高く評価されます。
IT業界での経験を活かし、PMOとしてのキャリアプランを計画的に進めることで、市場価値の高い人材を目指せるでしょう。
マネージャーとしての役割の経験やマネジメントスキル
PMOはマネジメントがメインの業務になります。そのため、マネージャーとしての経験はPMOとして働く上で大きな強みになります。
どんな会社でもマネージャー職につくことは可能なので、マネージャーを目指す形でPMOへのキャリアプランを描くことができます。
基本的にどんなマネジメント経験でもPMO業務でも活かすことは可能ですが、特にヒト、タスク、進捗、スケジュール、予算、品質、課題などの管理経験があれば評価されやすくなります。
既にマネージャーとして働いている場合は、将来PMOとして参画したいプロジェクトを具体的にイメージしてマネジメント手法を工夫していくことで、将来の強みとなる経験を積んでいくことができます。
マネージャー経験がなくても、チームリーダーやプロジェクトの一部を管理する役割を経験することで、PMOに必要なスキルを磨くことも可能です。
たとえば、小規模なプロジェクトで進捗管理を担当した経験があれば、それがPMOへのキャリアプランの第一歩とすることができるでしょう。
コミュニケーションスキル
PMOの業務では、関係者との円滑なコミュニケーションが欠かせません。
プロジェクトには多くのステークホルダーが関与し、それぞれの立場や優先事項が異なるため、PMOは情報を適切に収集・共有し、合意形成を図る必要があります。
タスクの進捗確認時に、現場担当者が情報提供に消極的な場合、PMOは相手の立場を理解しつつ、情報共有の必要性を説得力を持って説明する必要があります。
このようなコミュニケーションスキルは、日常の業務を通じて意識的に磨くことができます。
会議での発言やメールの文面を工夫し、相手に伝わりやすい表現を心がけることで、PMOとしての資質を高められるでしょう。
どんなキャリアプランがあるのか?

ではPMOを目指す上ではどんなキャリアプランがあるのでしょうか?
プロジェクトはどんな企業でも実行されるため、どんな職種でもPMOへのキャリアプランを描くことは可能と言えるでしょう。
しかし、PMOを目指す上で有利と言えるキャリアプランがあります。普段から意識して仕事をしておけば、理想的なキャリアパスに進みやすくなるはずです。
システムエンジニアやITコンサルタントからPMOに転職
システム開発や導入プロジェクトで経験を積み、PMOへ転職していく人材は非常に多くなっています。
現在は様々な要因からITスキルを持っていればPMOコンサルタントとして転職しやすくなっていることがその要因になります。
その一つとして例を挙げると、まず社会的なDXニーズの高まりがあります。
どの業界でもDXは積極的に利用されており、業務の自動化、顧客への付加価値の提供などを実現しています。
SaaS型サービスのサブスクリプションなどDXによる新しいビジネスモデルも誕生しています。政府も「2025年の崖」という言葉で警鐘を鳴らす形で企業のDX推進を推奨しています。
日本企業のDX活用は遅れており、このままだと2025年以降年間最大で12兆円の経済損失が生じる可能性があることを警戒する内容になっています。
また、ERPシステムの刷新プロジェクトが増えていることもITスキルの高い人がPMOを目指す上では追い風になっています。
ERPは企業が保有するヒト、モノ、カネ、情報などあらゆるリソースを管理するシステムです。
経営判断の迅速化、市場ニーズの把握、業務自動化など様々な効果が期待されるため多くの企業で導入されています。
そのERPの中でも最も需要がある製品はSAPとなっていますが、その製品の一つである「SAP ERP 6.0」の標準サポートは2027年に終了することが発表されています。
そのため、多くの企業ではERPシステムの刷新プロジェクトが計画・実行されており、それに合わせてPMO案件も増加しています。
フリーランスとして独立しPMOの案件を獲得
フリーランスのPMOコンサルタントとして独立することも一つの手段と言えます。
スキルの高い個人事業主に仕事を斡旋してくれるエージェントは多く、フリーランスでもPMOコンサルタントになることは可能です。
仕事に対して最も自由度が高い選択肢になっています。
会社員の場合は必ずしも希望の業界や役割でプロジェクトに参加できるわけではありません。
しかし、フリーランスであれば紹介されたプロジェクトが希望するものでなければ断ることも可能になります。
ただしデメリットも多く注意が必要です。会社員とは違い企業が仕事を保障してくれるわけではなく、自分で案件を探す必要があります。
基本的にはコンサルティングファームなどで経験を積んでからでないと、安定して仕事を獲得することは難しくなります。
また知識やスキルなども自分でキャッチアップしていく必要があります。
会社員であれば企業からスキルアップのためのサポートを受けることができますが、フリーランスであれば自分のスキルは独自でアップデートが必要です。
社内でPMOメンバーに立候補
現在働いている会社がコンサルティングファームやIT企業ではないからという理由で、PMOコンサルタントを目指すことは難しいと考えている人も多いのではないでしょうか。
確かにPMOへのキャリアパスを描きやすい企業とそうでない企業は存在しますが、どんな企業で働いていてもPMOへのキャリアプランを立てることは可能です。
基本的に企業であれば何かのプロジェクトを推進しているはずなので、自社のプロジェクトに参加する形でプロジェクトマネジメント関連の経験を積んでいくことができます。
プロジェクトを企画する際は、コンサルティングファームなど外部の会社からコンサルタントを採用します。
しかし、あくまでも自社に足りないノウハウを補うためのもので、プロジェクトメンバー全てを外部の人材で構成することは基本的にはありません。
自社の人材をベースに外部のスキルが高い人材からの支援を得る形でプロジェクトを推進することになります。
社内でプロジェクトへの公募があった際は積極的に手を挙げて参加することをおすすめします。PMOへのキャリアプランを描く上で有益な経験を積むことができます。
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まとめ

本記事ではPMOへのキャリアパスについて解説しました。PMOコンサルタントはあらゆる企業で活躍できる職種です。
仕事を通して身につくスキルは多く、高年収も狙えるためやりがいのある仕事になっています。PMOへの転職やキャリアプランを検討中の方はぜひ参考にしてください。
