PMOの市場価値は高い?将来性からキャリアパスを分かりやすく解説

公開日:2024.12.27(金) 更新日:

PMOは将来性のある有望な仕事!需要や市場価値、キャリアパスを解説

PMOの市場価値は高い?将来性からキャリアパスを分かりやすく解説

PMOの市場価値をご存じですか?

生成AIやDXによる急速な変化により、高度な顧客要求、短い納期といったプロジェクトを企業は推進していかねばなりません。

そこで、プロジェクトを支援し成功に導くためのPMOの市場価値は高まっています。

この記事では、PMOの市場価値や将来性、キャリアパスについて解説します。

PMOの概要と役割

PMOの概要と役割

PMO(Project Management Office)とは、プロジェクトを支援し、成功に導くための組織です。

企業戦略を達成するために、企業はプロジェクトを立ち上げ、事業を行っています。

従来のプロジェクトは、プロジェクトマネージャー(PM)が責任者となり全てを管理していました。

これでは、PMの能力によりプロジェクトの質が左右されてしまいます。

そこで、PMのスキルや経験によらず、プロジェクトの品質を一定以上に保つためにPMOが組織されることになったのです。

PMOはPMを補佐する役割を担います。例えば、以下のような業務内容です。

  • 報告書や議事録の作成といった事務作業
  • 人的・物的リソースの関係各所との調整作業
  • 課題管理、進捗管理、リスク管理などの管理作業
  • マネジメント人材の教育、育成
  • 全社的なプロジェクト標準の制定

このように、プロジェクトを成功に導き、全社の戦略を達成するための存在が、PMOになります。

PMOの需要と将来性

PMOの需要と将来性

近年、生成AIに代表される技術の進歩、およびDXによりビジネスモデルの変化が起きています。顧客からの要求はより高度化し、製品やサービスの開発サイクルは短くなっています。

それに対応するために企業は多様な変革を求められるようになりました。しかし、多くの企業は深刻なIT人材の不足に陥っているのが現状です。

特に企業が「人材不足が深刻な職種」としているのがPMです。

厚生労働省 「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書 によると、最も多くの企業が深刻な人材不足の職種としてPMを挙げています。

出典:厚生労働省 「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書 令和6年3月 P26
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf

企業は多くのプロジェクトを抱え、どれも失敗が許されません。優秀で経験豊富なPMは常に不足しています。そこで、プロジェクトを成功させるためにPMOが注目されているのです。

今後も、技術の進歩やDX改革は続いていきます。そのため、PMOの需要と将来性はますます大きくなっていくでしょう。PMOの将来性については、以下の記事に詳しく解説しています。ご参照ください。

PMOの将来性とは?需要が高い理由と市場価値を高める6つのスキルも解説
https://www.x-over.co.jp/consult/pmo/future-prospects

「やめとけ」「キャリアにならない」と言われる理由

「やめとけ」「キャリアにならない」と言われる理由

「やめとけ」と言われる理由

PMOに対する意見に、「やめとけ」というものがあります。

PMOはプロジェクトを支援する組織という特性上、簡単なプロジェクトを支援することはありません。難易度が高いプロジェクトや大規模プロジェクトといった、複雑なプロジェクトに投入されるケースがほとんどです。

そのため、PMOには次の苦労があります。

  • プロジェクトの難易度が高い
  • PMOに対する期待が大きい
  • プロジェクト成否に対する責任が大きい
  • 人の調整や、ドキュメントの作成といった支援作業が多い

大きいプレッシャーを感じたり、作業量が多かったりするため、「やめとけ」と言われることがあります。しかし、困難なプロジェクトが成功した時の喜びは、大きなやりがいとなるでしょう。

以下に詳しく解説していますので、ご参照ください。

「キャリアにならない」と言われる理由

PMOに対する意見に「キャリアにならない」というものがあります。

プロジェクトはPMが責任者となり推進しています。PMOはプロジェクトの裏方となるため、成果が見えづらく評価されにくい点が特徴です。

そのため、「キャリアにならない」といわれることがあります。

しかし、PMOはプロジェクトマネジメントの専門家です。

マネジメントのスキルや経験を持ち、職歴には多様なプロジェクトへの参画が記載されます。

厚生労働省 「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書 によると、IT・デジタル企業が中途採用を行う際に重要視する項目が記されています。

出典:厚生労働省 「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書 令和6年3月 P28
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf

これによると、最も重要視される項目は、「履歴書に記載されているプロジェクト情報」です。

続いて「各種資格や能力証明」が続きます。企業はプロジェクトの経験やスキルを高く評価していることが伺えます。

これにより、PMOは「キャリアにならない」ではなく、企業からは高く評価され、需要のある職種といえるでしょう。

PMOの市場価値と年収

PMOの市場価値と年収

上述したように、PMは人材不足が深刻です。多くの企業では経験豊富でスキルのある優秀なPMを必要としています。求人も多く、市場価値が高い職種です。

PMOの年収に対する統計はありませんが、同じプロジェクトを推進するPMの年収は統計が公開されています。

厚生労働省が2023年度に実施した委託調査結果によると、PMの年収は以下の通りとなっています。

スキルレベル 年収
ITSSレベル3 600万円~925万円
ITSSレベル4 675万円~950万円
ITSSレベル5以上 700万円~1,100万円

出典:厚生労働省 スキルレベル別給与データ(年収)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/322

出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 レベルの概念
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/itss2.html

PMOもPMと同様に、プロジェクトマネジメント人材です。市場価値が高く需要があるため、高い年収や高単価の案件が望めるでしょう。

おすすめの資格

おすすめの資格

資格の取得は、経験やスキルをアピールできます。プロジェクトマネジメントの資格を持てば、市場価値が高く需要のあるマネジメント能力を示すことができるでしょう。

ここでは、PMOとして取得しておきたい資格を紹介します。

PMP資格

PMP(Project Management Professional)資格とは、米国PMI(Project Management Institute)が認定する資格です。

プロジェクトマネジメントのノウハウや手法を体系的にまとめた、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)を習得していることを証明します。

難易度は高く、長期にわたる実務経験が必要です。しかし、PMP資格は知名度の高い国際規格であり、国内のみならず国外でもプロジェクトマネジメントのスキルを示すことができます。

今後のキャリアアップにも有効なPMP資格は、ぜひとも取得したい資格の1つです。

参考:Project Management Institute
https://www.pmi.org/certifications/project-management-pmp

参考:日本PMI協会
https://www.pmi-japan.org/pmp_license/pmp/

プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャー試験は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する国家資格です。プロジェクトマネジメントのスキルを認定し、「ITプロジェクトの成功請負人」と呼ばれます。

難易度の高い資格ですが、プロジェクトマネジメントのスキルを対外的に証明できます。

プロジェクトマネージャー試験も、自身の市場価値を高めキャリアアップに有効です。積極的な取得をお勧めします。

参考:プロジェクトマネージャー試験
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html

PMO資格

PMO資格とは、一般社団法人日本PMO協会が認定する資格で、PMOのスキルを認定します。

PMO資格は以下の3つに分類されます。

  • プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(NPMO認定PJM-A)
  • PMOスペシャリスト(★)認定資格 (NPMO認定PMO-S(★))
  • PMOスペシャリスト(★★)認定資格 (NPMO認定PMO-S(★★))

名刺や履歴書に掲載し、PMOのスキルを保有していることを対外的に証明できる資格です。積極的な取得をお勧めします。

参考:日本PMO協会認定資格(NPMO認定資格)
https://www.npmo.org/資格制度/

主なキャリアパス

主なキャリアパス

PMOには様々なキャリアパスがあります。代表的なキャリアパスは以下の通りです。

  • 社内PMO
  • PM
  • ITコンサルタント
  • フリーランスPMO

スキルと経験を積めば、転職やフリーランスへの独立といった、望むキャリアパスを描くことができるでしょう。自社のPM育成のために、赤字と分かっていても優秀なフリーランスのPMOと契約する企業もあります。

以下に詳しく解説していますので、ご参照ください。

記事のまとめ

記事のまとめ

PMOは、プロジェクト管理を支える重要な役割であり市場価値が高い職種です。その市場価値をさらに向上させるためには、資格取得や実務経験の積み重ねが重要です。

また、PMOのキャリアパスは幅広く、専門職として活躍する道だけでなく、PMやコンサルタントとしての道もあります。

PMOは将来性も高く、市場価値もますます高まってきます。まずはPMOのキャリアを形成してはいかがでしょうか?